
顧客理解を深めることは、事業の成功に不可欠です。そのために実施されるのがペルソナ設計です。新規事業や商品開発、マーケティング、営業、さらには人材採用といった幅広いビジネスシーンで活用されています。本記事では、ペルソナ設計の基本とやり方、関係の深いフレームワークを紹介します。
ペルソナ設計とは
ペルソナ設計とは、ターゲット顧客を架空の人物像として具体化する作業です。例えば、ターゲット顧客を「20代の女性」と設定しても、範囲が広すぎて実際の人物像をイメージしにくいでしょう。そこで以下のように、より詳細な情報を付け加えたペルソナを作成します。
- 27歳の女性
- 都内のIT企業に勤務
- ヨガが趣味で、休日はヨガスタジオに通う
- 情報収集の中心はInstagram
- 忙しくて自炊が難しく、外食が多い
このように細部まで設定することで、「この人物ならどのように考え、どのような行動をするのか」を具体的に検討できるようになります。
ペルソナ設計の目的
ペルソナ設計の目的は、以下のとおりです。
- ターゲット顧客を具体的にイメージすることで顧客理解を深める
- 組織全体でペルソナを共有することで、一貫した施策がしやすくなる
- 顧客の課題やニーズに即した商品やサービスを提供する
部署や役職ごとに顧客像が異なると、広告、商品開発、営業などの取り組みがバラバラになりがちです。一方、ペルソナを共有することで、同じ顧客像を基準に判断できるようになり、組織全体で一貫性のある取り組みがしやすくなります。
ビジネスにおける活用例
ペルソナ設計は、特定の業種や職種に限らず、幅広いビジネスシーンで活用されています。代表例は以下のとおりです。
- 新規事業・商品開発
新規事業や商品開発のプロジェクトでは、顧客のライフスタイルやニーズ、課題を踏まえた開発が不可欠です。ペルソナを設定することでニーズに沿ったアイデアを形にしやすくなり、顧客満足度の高い商品やサービスを生み出せます。
- マーケティング戦略
広告やWebコンテンツの方針を決める際、ペルソナを想定すると「誰に、どんな情報を届けるか」が明確になります。このようにして作成されたキャッチコピーやコンテンツは、ターゲット顧客への訴求力が向上します。
- 営業
ペルソナがあることで、営業担当者は顧客のニーズや課題をあらかじめ想定できます。その想定を基に提案を組み立てることで、提案の品質が上がり、成果の向上につながります。
- 人材採用
ペルソナ設計は顧客理解だけでなく、人材採用にも有効です。採用したい人物像をペルソナとして設定すれば、担当者間で共通の認識が構築され、求める人材を確保しやすくなります。
ペルソナ設計の手順
ペルソナ設計をしようとしても、「どこから始めればいいのか」と迷う方もいるでしょう。そこで、誰でも取り組みやすいように、ペルソナ設計の流れを4つの手順に分けてわかりやすく解説します。
手順① 項目を決定する
まず取り組むことは、どのような項目を設定するかを決めることです。一般的には次のような要素の中から必要な情報を選択します。
- 年齢、性別、家族構成
- 職業、役職、勤務先、年収
- ライフスタイル、趣味
- 休日の過ごし方
- よく使う情報源
- 抱えている課題や不満
ここで大切なのは、すべての情報を網羅するのではなく、プロジェクトの目的に必要な項目を選定することです。項目を増やすほど、詳細なペルソナを設定できる一方で、情報収集などの手間も増えるためです。
手順② 情報を収集する
各項目を正しく設定するには、顧客データや市場調査を参考にする必要があります。主観や思い込みで設定すると、実在しない顧客像を作り出す恐れがあるためです。
情報収集の際に活用できる主な情報源は、以下のとおりです。
- 既存顧客のデータ:購買履歴、行動履歴、問い合わせ内容など
- インタビューやヒアリング:既存顧客や見込み顧客の意見
- 統計データ:公共機関や業界団体が公開しているデータ
- 市場調査:調査会社のレポートや調査結果
- SNS:顧客の実際の行動や発言
これらの情報を効果的に収集するには、調査や分析のノウハウを持つ人材が必要です。社内で確保が難しい場合は、調査会社への委託も検討しましょう。
手順③ 情報を基にペルソナを設計する
収集した情報を整理し、具体的な人物像へと落とし込みます。この段階で注意すべきポイントは次のとおりです。
- 過剰に理想化せず、実在しそうな人物にする
- ストーリーを設定して、感情や行動まで想像できるようにする
理想を追い求めすぎると、現実には存在しない人物像を作ってしまうことがあります。そのような人物を対象に戦略を立てても効果は期待できません。ペルソナ設計で特に重要なポイントは、実在しそうな人物像にすることです。
手順④ ペルソナシートにまとめる

最後に、設計したペルソナをペルソナシートにまとめます。シートには次のような項目を盛り込みます。
- 基本情報
- 行動情報
- 心理情報
- その他(サービスへの印象など)
シート化することで、マーケティング担当者だけではなく、商品開発や営業など、組織内で顧客像の共有がしやすくなります。
ペルソナ設計のメリット・デメリット
ペルソナ設計には多くのメリットがありますが、その一方で注意すべきデメリットも存在します。ここでは、実際に取り組む前に知っておきたいメリットとデメリットを整理します。
メリット
- 顧客理解が深まる
具体的な人物像を描くことで、顧客のニーズや課題だけでなく、行動や心理状況をイメージしやすくなります。
- 組織内で認識を共有できる
組織内で同じ顧客像を共有することで、組織全体で一貫性のある施策を実行できます。
- アプローチの精度が上がる
広告や営業、コンテンツなどの訴求力が高まります。
デメリット
- 作成に時間とコストがかかる
情報収集や整理に時間やコストがかかります。
- 現実とは異なる顧客像を作る可能性がある
データに基づかずに作成すると、現実の顧客とずれたペルソナを作る可能性があります。
こうした特徴を理解したうえで活用することで、ペルソナ設計は事業の成長や拡大に役立ちます。
ペルソナ設計と関連の深いフレームワーク

ペルソナ設計は、ペルソナを作って終わりではありません。実際に施策として活用してこそ意味を持ちます。ここでは、ペルソナと関係の深い2つのフレームワークを紹介します。
カスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入するまで、一連の行動や感情の流れを可視化したものです。ペルソナ設計で描いた人物像を基に、以下のようなステップを整理します。
- 認知段階:商品やサービスをどの媒体で知るのか
- 検討段階:比較や情報収集の際にどのような点を重視するのか
- 購入段階:意思決定を後押しする感情は何か
- 体験段階:実際に利用してどのような価値を感じ、どのような行動につながるのか
このように顧客の体験プロセスを整理することで、接点ごとに取るべき施策が明確になり、効果的で一貫性のある戦略立案が可能になります。
カスタマージャーニーの詳細は、「カスタマージャーニーをBtoBマーケティングに活用!」の記事をご参照ください。
共感マップ
共感マップは、ペルソナの感情や行動をシートに書き出すことで、顧客理解を深めるフレームワークです。ペルソナ設計だけでは、顧客の感情や行動を十分に把握できないのを補うことができます。
共感マップの詳細は、「顧客理解を深める共感マップとは?目的や書き方を徹底解説」の記事をご参照ください。
ペルソナ設計で事業成長を加速させよう
ペルソナ設計は、顧客像を具体的に描くことで顧客理解を深め、組織全体で一貫性ある戦略を進めるための重要な手法です。新規事業や商品開発、マーケティング、営業、さらには人材採用など幅広い場面で活用できます。この機会に、ペルソナ設計に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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