
事業の拡大や新たな分野への参入時に欠かせないのが、マーケットサイズ検証です。マーケットサイズを把握することで、その業界の把握、既存事業の成長戦略の見直し、新規事業の事業性の判断ができます。本記事ではマーケットサイズ検証の目的や調査方法、注意点についてわかりやすく解説します。
マーケットサイズ検証とは?
マーケットサイズ検証とは、マーケットサイズを定量的に把握し、その市場にどれだけの需要や成長の余地があるかを分析することです。
マーケットサイズは、市場全体の売上高や販売数量などの指標で表されます。例えば、2023年の自動車産業の規模は約3兆5,647億ドルで、世界全体の販売台数は約8,900万台でした。このように、その市場にビジネスチャンスがあるかどうかを判断する手がかりとなります。
参考:Spherical Insights「世界の自動車産業の市場規模」
参考:経済産業省「自動車をとりまく国内外の情勢と自動車政策の方向性」
マーケットサイズ検証の目的
マーケットサイズ検証の主な目的は次の4つです。
業界の把握
まずは、業界全体の状況を把握することです。例えば、その業界の年間売上規模や成長率などを確認することで、以下のような点を分析できます。
- 市場が成熟しているか
- 成長期にあるか
- すでに衰退傾向にあるか
このように、マーケットサイズ検証により、業界全体の動向を把握できます。
既存事業の成長戦略の見直し
マーケットサイズ検証は、既存事業の成長戦略の見直しや方針転換に役立ちます。例えば、市場が縮小している場合には、新たなターゲット層の開拓や撤退などの検討が必要です。一方、市場が拡大している場合は、マーケティングの強化や新商品の投入など、事業拡大に向けた施策を打ち出す根拠となります。
新規事業の事業性の判断
新規事業を立ち上げる際に重要な要素は、その市場に十分な規模と成長性があるかです。マーケットサイズが小さすぎると、ビジネスとして成立しない可能性があり、反対に拡大傾向にあれば、多くのビジネスチャンスがあることを意味します。
売上予測の算出
マーケットサイズ検証は、売上予測を算出するのに役立ちます。例えば、マーケットサイズが500億円の市場でシェアを1%獲得できれば、年間売上は5億円です。このように、マーケットサイズを把握することで、現実的な売上予測を立てやすくなります。
マーケットサイズの調べ方

マーケットサイズ検証には、信頼性の高い情報を収集することが不可欠です。もし不正確なデータをもとに事業戦略を立ててしまうと、実態に合わない商品やサービスを生み出す可能性があるためです。ここでは、主な5つの調べ方について解説します。
官公庁の統計データから調べる
信頼性の高い情報源としてまず挙げられるのが、官公庁が発信する統計データです。
例えば、以下のような調査資料は、各産業のマーケットサイズを把握するのに役立ちます。
- 工業統計調査
- 法人企業統計調査
- 情報通信白書
これらのデータを探す際には、政府統計ポータルサイト「e-Stat(イースタット)」の利用がおすすめです。e-Statは、総務省が運営するデータベースで、各省庁が公表している調査結果を検索、閲覧できます。この調べ方のメリットは、無料で信頼性の高い情報が入手できることです。
業界団体の調査データから調べる
多くの業界には、それぞれ専門の業界団体や協会があります。これらの団体では、業界の動向やマーケットサイズに関する調査データを公表していることがあります。例えば、次のような業界団体です。
- 一般社団法人 日本自動車工業会
- 一般社団法人 日本建設業連合会
- 一般社団法人 日本電機工業会
マーケットサイズを調べる際は、調査対象に関連する業界団体を探してみましょう。こうした団体が発信する情報は、業界に特化しているため、より具体的なデータを入手できる可能性があります。
民間企業の調査データから調べる
官公庁の統計データや業界団体の調査データでは、知りたい情報が掲載されていない場合もあります。そのようなケースで役立つのが、民間企業が提供している調査データです。代表的な企業やサービスは以下のとおりです。
- 矢野経済研究所
- 富士経済グループ
- SPEEDA(スピーダ)
これらの民間企業やサービスでは、詳細なデータを入手できます。ただし、多くのデータは有料のため、利用する際は費用対効果を考慮することが大切です。
フェルミ推定で計算する
マーケットサイズの調べ方には、フェルミ推定を用いて算出する方法もあります。フェルミ推定とは、調査が難しい情報を入手可能な情報から論理的に算出する方法です。例えば、次のような問いに答える際に使用します。
- 東京にピアノ講師は何人いるか?
- 地球上に蚊は何匹いるか?
「地球上に蚊は何匹いるか」の問いに答えようにも、実際に一匹ずつ数えることは不可能です。そこで、蚊が生息できるエリアの面積や、1平方キロメートルあたりの蚊の密度などの情報から推定値を算出します。
このように、限られた情報をもとに論理的に推定値を算出するのがフェルミ推定です。
調査会社に委託する
マーケットサイズの調べ方の一つに、専門の調査会社に委託する方法があります。新規事業の立ち上げや大規模な設備投資に向けた調査では、正確かつ網羅的なデータが必要です。しかし、社内のリソースだけで対応するのが困難な場合も珍しくありません。そのような場合は、専門の調査会社に依頼することで、信頼性の高い情報を効率よく入手できます。
マーケットサイズ検証の注意点

マーケットサイズ検証は、やり方を間違えると、誤った結論に至る可能性があります。そうした事態を防ぐために、次の注意点を押さえておくことが重要です。
目的を明確にする
マーケットサイズ検証では、まず目的を明確にすることが大切です。例えば、「新規事業の可能性を探る」や「既存事業の将来性を見極める」などです。目的が曖昧なまま調査を進めてしまうと、不要なデータを集めてしまい、無駄な時間や労力がかかる恐れがあります。効率よく情報を収集するためにも、調査を始める前に目的を明確にしましょう。
調査前に仮説を立てる
マーケットサイズ検証では、事前に仮説を立てることが重要です。仮説があることで調査の方向性が定まり、必要な情報が明確になるためです。さらに、仮説と実際の調査結果の違いを比較することで、戦略の見直しや改善点を見つけやすくなります。
予算・調査期間を設定する
マーケットサイズ検証にかかるコストや時間は、調査の範囲や内容によって変動します。そのため、費用対効果やスケジュールを考慮した調査計画が欠かせません。そのため、プロジェクトの規模に応じて、無理のない予算と期間を設定することがポイントです。
マーケットサイズ検証で事業の可能性を見極めよう
マーケットサイズ検証は、事業の可能性を見極めるために欠かせない重要なプロセスです。信頼性の高い情報をもとに市場の規模や成長性を把握することで、将来の採算性や戦略の方向性を的確に判断できます。ただし、精度の高い検証を行うためには、専門的な知識や正確なデータの収集・分析スキルが不可欠です。
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