日本に景気後退が来ます…!景気後退局面を勝ち抜くために取り組むべきこと!vol.3

物価の高騰や米国の逆イールドの発生など、日本は近々、景気後退局面に差し掛かってもおかしくない状態です。またリーマン・ショックのように、大きな影響があるかもしれないので、今から備えをしておく必要があります。

本コラムは、弊社で開催したラジオ風ウェビナー

景気後退局面を勝ち抜くためには、何に取り組むべきか?

の一部内容を編集して、全3回のシリーズに分けてお届けします。

第1回に日本に景気後退局面が来る理由、第2回に不況を逆手にとり急成長を達成した企業を紹介しました。

第3回は景気後退局面において、取り組むべき準備について解説します。

Contents

景気後退局面で優先すべきは外向きの対策

景気後退局面での対策は大きく分類すると、内向き・外向きの2種類です。

「内向きの対策」は費用を抑えることで相対的に利益を確保する方法で、「外向きの対策」は新規事業などで売上を拡大してピンチを乗り切る方法です。

景気後退局面では、どちらもよく実施される戦略となります。

対策がいくつかある中で、「内向きの対策」と「外向きの対策」のどちらを優先すべきかを検討すると、「外向きの対策」を優先させるべきであると考えます。

外向きの対策が重要な理由

外向きの対策を優先させるにあたり、日本のGDPの推移を少し見ていきたいと思います。以下のグラフは、主要国のGDPの推移と見通しです 。

出典:経済産業省「世界経済の動向と中長期的な経済成長に向けた取組

上記のグラフで注目すべきなのは、米国・中国・日本の推移です。

米国・中国は右肩上がりに伸びているのに対して、日本は約5兆ドルのラインをいったりきたりしながら、横ばいの状態を維持しています。

これは日本の「失われた20年・30年」と呼ばれる期間で、日本市場が伸び悩んでいることを示しています。

つまり国内市場は長い間、5兆ドルの規模を維持し続けており、市場規模を大きくするには新たな市場の創出が必要です。

景気後退局面では、既存市場でのシェアの奪い合いが熾烈になることから、生き残るためにも新規市場での「新しい価値づくり」が重要です 。

「新しい価値」が企業の価値を高め、付加価値向上につなげられる=売上・利益が上がるという状況が作れます。日本のGDP拡大につながり、不況を機に急成長を遂げることもできるでしょう。

景気後退局面において、取り組んでおくべき準備

景気後退局面への移行が考えられる現在、取り組むべき準備は「新しい価値」を創出しやすい環境づくりです。

具体的には以下の3つの項目です。

  • 事業構造の整理
  • 新規事業の環境準備
  • 企業の組織力強化

効果的な「外向きの対策」ができるように、3つの項目のポイントを押さえておきましょう。

①事業構造の整理:自社の強み弱みを把握しチャンスに備える

まずは事業構造の整理が必要です。事業構造の整理のポイントは以下のとおりです。

  • 市場規模をしっかりと把握すること
  • 自社が市場内のどのポジションにいて、どのような強み・弱みがあるかを把握すること
  • なぜ自社製品が売れているかをしっかりと分析すること
  • どのようなユーザーにどのような点を評価いただいているかを把握すること
  • 顧客ニーズに敏感になり、常に顧客情報と接点を持つこと

このように事業構造を整理して、自社の強み・弱みを把握することでチャンスに備えられます。チャンスの際に、自社のことを把握できていると素早く・柔軟に対応できるためです。

自社理解や環境分析については、なかなか着手しにくい部分もあるかと思いますが、「企業規模が小さい」や「人手が足りない」などを理由に、後回しにしたり、避けたりすべきではありません。景気後退局面をチャンスに変えるために、実施すべき重要な準備となります。

②新規事業の環境準備:新規ビジネスに取り組める環境の準備

外向きの対策の代表例は新規事業の立ち上げです。

しかし景気後退局面で、いざ新規事業を立ち上げようとしても、環境が整っていないと期待したような成果を上げるのは難しいでしょう。

そのため、以下の項目について準備が必要です。

・「それ、今やること?」というネガティブな感情を持たないこと

不景気のタイミングほどチャンスは多いが、ネガティブな感情によりチャンスを逃さないように意識改革する必要があるため

・今できる取り組みを常に考えておくこと

景気後退局面の前から常に新規事業・ビジネスを検討することで、確度の高いアイデアを創出できるため

・チャレンジすることを会社文化とすること

トライアンドエラーへの許容度が高い企業ほど、売上復活につながりやすいため

出典:中小企業庁「危機を乗り越えていくために必要な中小企業の取組

上のグラフはトライアンドエラーへの許容度別にみた、売上高回復企業の割合です。売上高回復企業とはコロナ流行後に売上高が落ち込み、その後回復した企業のことです。

トライアンドエラーへの許容度が高いほど、売上回復企業の割合が高まっていくことが伺えます。「チャレンジすることを会社文化とすること」は景気後退局面への備えになるといえるでしょう。

③企業の組織力強化:マーケティング・顧客課題把握・問題把握の力をつける

新しい価値を生み出すには、「企業の組織力強化」や「従業員のスキルアップ」が欠かせません。

具体的に以下をポイントに強化を図りましょう。

  • マーケティング発想ができるように、トレーニングする
  • 顧客の課題把握・問題把握の力をつける
  • 優秀なリーダー・マネジャーを育成する

しかし、優秀な人材の基準は人それぞれで、どのような人材を育成すれば良いか悩んでしまう方もいるでしょう。

我々が取り組んだ案件に、全国の営業リーダー・マネジャーに、インタビューした案件がございます。その際に聞かれた話の一部を紹介します。

  • 飲料メーカー 支社長:「売場観察するときは、来店客視点+本部SV視点+商品部長の視点で気づきを得るまで観察する」
  • 食品メーカー 営業マネジャー:「取引先担当者が発話した課題の裏や取引先組織のなかで、担当者の立場の人がなぜあの発話をしたのか事業本部長の立場で考察する」
  • 食品メーカー 営業リーダー:「自分の業務と直接関係はないが、一緒に考えて、すぐに動いてくれるパートナーは何人か揃えている」

上記はほんの一部の抜粋ですが、新しいことを取り組む、新しい視点にチャレンジするという点で、かなり重要なポイントが挙げられていると感じました。

また、多くの営業リーダーにヒアリングをする中で、見えた「できる営業リーダー」に共通したのは以下の3つのポイントです。

  • 常にマーケティング視点で情報収集をする
  • 商談相手より上位レイヤー(上層部)の課題・問題を捉えている
  • 周りを巻き込んで顧客課題を解決する

いずれも、ご自身の視野を広げて持たれている点、新しい視点や状況を俯瞰して見ている視点など、常に高い視座、多角的な視点で問題の本質を捉えている様子が見られました。

リーダーやマネジャーだけではなく、営業、商品企画開発、経営企画など、各セクション、各メンバーが本質的な顧客課題を理解できる状態を作る事で、顧客にこれまでと違う付加価値の提案もできるようになるでしょう。

景気後退局面を勝ち抜くためのポイント

全3回でお届けしました「今後の景気後退局面を勝ち抜くために取り組むべきこと!」シリーズのポイントは以下のとおりです。

  1. 不景気前の今こそ、自社の事業構造をしっかりと把握する
  2. なぜ自社製品が売れているか、しっかりと顧客・市場分析を行う
  3. 新規事業、新規ビジネスを常に考える、動いている組織及びパートナーを見つける
  4. マーケティング発想、顧客課題把握、問題把握の力をつけておく

日本の景気後退局面は、2023年後半から2024年にかけてくると予測されています。ピンチをビジネスチャンスに変えるためにも、今から行動を開始してみてはいかがでしょうか。

・当社の紹介 セルウェル株式会社では、マーケティングを軸に戦略策定から実行支援まで対応しています。海外進出支援・デジタル領域からのビジネス支援など、多方面における企業様の課題解決をサポートしていますので、お気軽にご相談ください。