第1回で紹介したように早晩日本においても、景気後退局面が訪れます。景気後退局面を乗り越えてきた企業には、「世の中に本当に求められるサービス」という点をしっかりと捉えて展開されているという共通点が伺えます。
今から対策を講じて、景気後退局面をビジネスチャンスに変えていきましょう。
本コラムは、弊社で開催したラジオ風ウェビナー
の一部内容を編集して、全3回のシリーズに分けてお届けいたします。
第2回は、過去の景気後退局面を乗り越えた企業の事例を紹介していきたいと思います。
Contents
過去の景気後退局面の影響からわかること
景気は拡大局面・後退局面を繰り返し、これまでにバブル崩壊やリーマン・ショックなど、様々な要因で景気後退局面を迎えました。内閣府が公表している景気基準日付より、バブル崩壊以降の景気後退局面は以下のとおりです。
循環 | 景気後退局面 | 後退期間 |
---|---|---|
第11循環 | 1991年2月~1993年10月 ※バブル崩壊 | 32ヵ月 |
第12循環 | 1997年5月~1999年1月 | 20ヵ月 |
第13循環 | 2000年11月~2002年1月 | 14ヵ月 |
第14循環 | 2008年2月~2009年3月 ※リーマン・ショック | 13ヵ月 |
第15循環 | 2012年3月~2012年11月 | 8ヵ月 |
第16循環 | 2018年10月~2020年5月 | 19ヵ月 |
このなかでも日本の製造業・卸売業に影響が大きかったのは「リーマン・ショック」です。東京商工リサーチの調査によると、製造業で影響が大きかった経済・事業環境の変化で、リーマン・ショックと回答したのが49.1%にもなります 。
金融不安による景気後退局面は、製造業・卸売業への影響が大きい様子が伺えます。
直近の金融の世界情勢を見てみると、アメリカの3銀行が破綻したり、クレディスイスが破綻しかけたりなど、金融不安による景気後退がいつおこってもおかしくない状況です。
製造業中心の日本において、円安に加えて、景気後退による経済危機はさらなる痛手になる可能性が高いことは自明です。
経営危機を乗り越える取り組みの方向性
それでは過去の経営危機を乗り越えるために、他の企業ではどのような取り組みをしたのでしょうか。東京商工リサーチの調査によると、「危機を乗り越えるために最も重要だった取り組み」について、以下の結果が得られています 。
各事業者が危機前の取り組みで重要だったと回答が多かったのは、「新事業分野への進出、事業の多角化」です。
また、危機下の取り組みでは、「資金繰り」「雇用」「人件費の見直し」などが注目されているとわかります。
つまり景気後退局面における対策の方向性は、「内向き」「外向き」の2方向に分類できると考えております。
・内向き対策
内向き対策はコストカットや人員整理などにより、事業のマイナス面を減らすことでプラスに転じさせる対策方法です。
・外向き対策
外向き対策は新規事業や事業構造整理、自社資産の見直しなどにより、自社のプラスを見つけてプラス面を伸ばすことで成長を加速させる対策方法です。
景気後退局面をチャンスに変えた事例3選
ここで、少し景気後退に関連した、事例を見ていきたいと思います。
景気後退局面は、必ずしも事業規模が縮小するとは限りません。うまく活用することで、世界的な企業に成長した成功事例も多くあります。
- 株式会社ユニクロ
- Airbnb, Inc.
- Groupon
株式会社ユニクロ
出典:株式会社ユニクロ
ユニクロは「LifeWear(あらゆる人の生活をより豊かにする服)」をコンセプトに拡大を続け、2022年8月時点で海外に1,585店舗を展開するほどの世界ブランドに成長している企業です。
ユニクロが設立されたのは1984年ですが、急成長を遂げたのはバブル崩壊後の1997年ごろになります。その時期より、プライベートブランドの売上比率を一気に高め、製造直売小売業(SPA)に業態転換したことで大きく飛躍できたためです。
また、国内でユニクロの名を広めたのは1998年に発売された「フリース」です。日本中がフリースブームに沸いたのを覚えている方も多いでしょう。
ジャケットやセーターが最低でも1万円以上の時代に、1,900円という値段が反響を呼び200万枚の大ヒットを記録しました。さらに1999年に850万枚、2000年には2,600万枚という驚異的な販売数を達成し、2001年に海外進出を果たします。
このように、ユニクロは景気後退局面のデフレの波にうまく乗ることで大躍進を遂げた企業といえます。
Airbnb, Inc.
出典:Airbnb
Airbnb(エアビーアンドビー)は、部屋を借りたい人と部屋を貸したい人を結ぶサービスです。
その始まりは、複数のビジネスモデルを試していたスタートアップファウンダーの3人が家賃を払うために、共同で済んでいたアパートの一部を貸し出したことがきっかけです。2008年にスタートしたAirbnbは、その土地ならではの体験や個性的な宿、自由度の高さといった魅力により、世界191ヵ国で利用されるまでに成長しています。
ただし、2020年春からコロナ禍により劣勢に立たされます。
●コロナ禍における苦境例
- コロナ初期には売上が前年比の10分の1以下に減少
- 会社のバリエーションは2分の1に減少
- 優秀な社員を巨大テック企業が引き抜き
実は、Airbnbはコロナ前も順調に運営を続けてきたわけではなく、何度もピンチがありました。例えば、創業当初は資金を工面するために、起業メンバーがクレジットカードで数百万円の借金を抱えていたほどです。
ピンチの都度、試行錯誤を繰り返し現在のサービスモデルに辿りついています。そのためコロナ禍の苦境であっても前進を続け、2022年には過去最高益を達成したのです。
これほど急激に回復できた理由としては、「分割予約機能」や「保険サービス」による顧客満足度向上が挙げられます。
Groupon
出典:Groupon
Grouponは共同購入型のクーポンサイトです。2008年の不況の真っ只中に、消費者に商品やサービスのお得情報を提供しながら、企業を宣伝するウェブサイトとして設立されました。
市場が不確実な時代において、「効率性」「コスト削減」「透明性のある価値」をすべての関係者に提供するGrouponは、企業やブランドと顧客を結びつけるためのプラットフォームとして人気を博しました。
その結果、起業からわずか3年でIPOを実現し、時価総額178億ドルの事業に急成長を遂げています。
景気後退局面における成功のポイント
3つの成功事例より、景気後退局面における成功のポイントは以下のとおりです。
- 自社の立ち位置をしっかりと把握している点
- 自社の強み・弱みを把握したうえで転換できている点
- 顧客視点での情報収集・整理を行っている点
また現在誰でも知っている一流企業の多くは、不況の真っ只中、もしくは直後にスタートしています。恐らくそれは、偶然ではないでしょう。好景気の時は、何が理由でヒットしているのかもわかりにくいですが、不況の時は「世の中に本当に求められる消費やサービス」だけが生き残っています。
逆に捉えると、今後日本において景気後退局面が見えているタイミングなので、しっかりと準備をしておくことでビジネスチャンスを掴めるといえます。
景気後退局面の時こそ、変革のチャンス!
景気後退局面では以下のような特徴があります。
- 世の中が大きく変革することで新たな社会課題が生まれる
- 就職できなかった人が起業家になってビジネスを始める
- 人件費などのコストが下がる
- 倒産するビジネスが多くなるため、競合が少ない
つまり景気後退局面の時こそ、変革のチャンスといえるのです。紹介した成功事例のように、不況下でも顧客のニーズを掴むことで急成長することも夢ではありません。
次回は、「景気後退局面において取り組むべき準備」についてお届けします。どうぞお楽しみに!
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