ファンマーケティングとは?定義や手法、成功事例を紹介

従来のマス広告は、ライフスタイルの多様化や情報の氾濫などにより効果が薄くなっています。そこで次のマーケティング手法として注目を集めているのはファンマーケティングです。 

しかし、ファンマーケティングに興味があるものの、具体的にやり方やメリットがわからないという方もいるでしょう。 

本記事ではビジネスパーソンに向けて、ファンマーケティングのメリットや手法、成功事例を紹介します。 

Contents

ファンマーケティングとは 

ファンマーケティングとは、自社商材を熱狂的に支持してくれる顧客との関係を重視するマーケティング手法です。 

顧客は大きく分類すると以下の3種類にわけられます。 

・新規顧客:初めて自社商材を購入した顧客 

・リピーター:何度も自社商材を購入している顧客 

・ファン:何度も購入し、SNSなどに積極的に口コミを発信する熱狂的な支持者 

つまりファンを増やすほどに、自社商材をアピールしてくれるサポーターが増えます。安定した売上とともに、SNSへの口コミの投稿が期待できることから、注目を集めているのです。 

ファンマーケティングが注目される背景 

近年、ファンマーケティングが注目される背景は、以下の3つがあげられます。 

・LTVの重要性の増加 

・消費者の口コミの影響力 

・モノや情報の氾濫 

各背景についてわかりやすく解説します。 

LTVの重要性の増加 

ファンマーケティングが注目される理由は、LTVの重要性が高まっているためです。LTVとは、「Life Time Value(顧客生涯価値)」の略で、顧客が取引を開始してから、終了するまでに得られる利益のことです。 

日本は人口減少・少子高齢化により、新規顧客を獲得するのが難しくなってきています。 

そこで、既存顧客に対するマーケティングの重要度が増しています。顧客一人ひとりから得られる利益を最大化することが、自社の利益につながるためです。その手法としてファンマーケティングが注目を集めています。 

消費者の口コミの影響力 

ファンマーケティングが注目される背景は、ファンが発信する口コミに影響力があるためです。 

現代は、インターネットやSNSの普及により、個人でも簡単に情報を発信できるようになりました。すると、以前のように企業が発信する情報よりも、個人が発信する情報を重視する傾向があります。 

ファンマーケティングによりファンに生の声を発信してもらうことで、新規顧客の獲得やブランディングに役立つと期待されています。 

モノや情報の氾濫 

現代は似た商品が溢れ、情報も氾濫しているため、競合他社と差別化を図る意味でファンマーケティングが注目されているのです。 

類似商品が溢れ、似た広告も多い現代、企業が発信する情報だけでは消費者の興味・関心を引くのが困難になっています。そこで競合他社と差別化を図るためには、ファンミーティングなどにより、顧客のニーズを探求するなどの対策が必要です。 

ファンマーケティングのメリット・デメリット 

ファンマーケティングのメリット・デメリットの一覧は以下のとおりです。 

メリット デメリット 
・売上の安定や向上につながる 
・新規顧客の獲得が期待できる 
・ユーザーの声を反映できる 
・ファン獲得までに時間がかかる 

メリット① 売上の安定や向上につながる 

ファンマーケティングは売上の安定や向上に役立つのがメリットです。マーケティングの世界では、上位20%の顧客が売上の80%を占めるという「パレートの法則」が有名です。ファンマーケティングにより、上位20%の顧客にファンが占めると、売上の安定・向上が期待できます。 

メリット② 新規顧客の獲得が期待できる 

ファンが発信する情報により、新規顧客の獲得が期待できるのもメリットです。ファンのSNSを活用した発信力・拡散力により、これまで企業の発信する情報では訴求できなかった潜在顧客にもアピールできるためです。新規顧客を獲得することで、売上アップにもつながります。 

メリット③ ユーザーの声を反映できる 

ファンとの交流を深めることで、商品開発にユーザーの声を反映できるのがメリットです。企業にとって、ファンミーティングやSNSでの交流は、ファンの意見を聞く機会といえます。ユーザーの声を反映した商品を開発することで、ファンの育成や競合他社との差別化に役立つでしょう。 

デメリット① ファン獲得までに時間がかかる 

ファンマーケティングはメリットばかりではなく、デメリットもあります。それはファンの獲得までに時間がかかることです。 

ファンマーケティングは、実施してもすぐにファンが増えるわけではありません。新規顧客からリピーター、リピーターからファンに育成するには長い時間をかけてコミュニケーションをとり続ける必要があります。さらにファンマーケティングで売上を安定させるには、多くのファンが必要です。 

早期に結果につながらないと、途中でやめたいと思うかもしれませんが、それまでの労力が無駄になるので注意が必要です。長期的な戦略を立てて実施することをおすすめします。 

ファンマーケティングの手法 

ファンマーケティングはファンの獲得や交流を深めるための手段です。そのため一言にファンマーケティングといっても多くの手法があります。ここでは主な7つの手法を簡単に紹介します。 

・ファンミーティング 

企業と顧客が交流できる機会を設ける手法です。招待者をファン限定にするなど、特別感を演出することで効果を高められます。 

・ファンコミュニティ 

企業のファン同士が交流できる場所を提供することです。例えば、オウンドメディア上にファンの交流サイトを設けるなどです。ファン同士の交流を深めることで、自社に対してより愛着が湧くようになります。 

・メルマガ配信 

企業から顧客へのメルマガ配信です。役立つ情報を提供することで顧客育成につながります。 

・限定キャンペーン 

ファン限定にプレゼントしたり、特典を付与したりすることです。ファン限定キャンペーンを実施することで、特別感を演出できます。 

・会員制サービス 

ファン限定の情報を提供したり、割引価格で案内したりするためのサブスクリプション型サービスです。定期的な課金により、安定した売上を確保できます。 

・サンプリング体験 

販売前の商品をファンに体験してもらうことです。新商品の意見を聞くことや、口コミを発信してもらうことを目的に実施します。 

・ライブ配信 

商品を使ったデモンストレーションをライブ配信することで、ファンの反応を確認する手法です。ファンの反応を確認することで、消費者の商品への疑問点を把握するのに役立ちます。 

ファンマーケティングの成功事例:KAGOME 

出典:&KAGOME 

ファンマーケティングの成功事例は、KAGOMEです。KAGOMEはトマトケチャップでお馴染みの総合食品メーカーです。 

KAGOMEは2015年にファンコミュニティサイトの「&KAGOME」を立ち上げました。「&KAGOME」は会員サイトで、ファンが作ったレシピを公開したり、トークルームでファン同士が交流したりするのに活用されています。 

同社は工場見学や座談会、商品のお試し体験などのさまざまなイベントを企画しているのも特徴です。 

これらのファンマーケティングにより、「&KAGOME」は2021年9月時点で会員数が4.9万人に達しており、多くのファンの獲得に成功しています。 

売上アップにファンマーケティングを検討しよう 

ファンマーケティングとは、熱狂的な自社商材の支持者との関係性を深めるマーケティング手法です。ファンのSNSでの発信はこれまで訴求できなかった潜在顧客にもアピールできるため、新規顧客の獲得にもつながります。売上アップに悩んでいる企業は、ファンマーケティングの実施を検討してみてはいかがでしょうか。