VTuber(バーチャルYouTuber)を活用したビジネスモデルが注目を集めています。とくに若者向けの商材を取り扱う企業にとっては、発信力を強化する方法の1つです。
しかし、「VTuberって何?」や「どんなビジネスモデルがあるの?」などの疑問がある方もいるでしょう。
本記事では今さら意味を聞けないという方のために、VTuberの概要やビジネスモデル、企業が活用するメリットをわかりやすく解説します。
Contents
VTuberとは
VTuberとは、「バーチャルYouTuber」の略で、2Dや3Dのアバターで活動するYouTuberのことです。簡単に言えば、モーションキャプチャー技術によりアバターと投稿者の動きを連動させ、アニメ調のキャラクターが話したり、歌ったりする動画をYouTubeで配信している人を指します。
主な収入源は、YouTubeの広告収入や投げ銭と呼ばれる視聴者からの寄付、グッズ販売などです。人気VTuberになると、1年間の投げ銭の金額が1億円を超えることもあります。
VTuber事務所のホロライブの売上高は204億円
出典:ホロライブプロダクション
VTuberになるにはモーションキャプチャーの機材が必要となるため、事務所に所属し活動するのが一般的です。世界最大級のVTuber事務所は、カバー株式会社が運営するホロライブです。
ホロライブは2024年2月11日時点で、68名のVTuberタレントが所属しています。
カバー株式会社はVTuberの人気の高まりにより、売上が右肩上がりに増えています。2023年の売上高は204億円で、200億円を突破しました。2020年は14億円であったことから、わずか3年で13.8倍に急成長しています。
このことからも国内において、Vtuberのビジネスは成功しているといえるでしょう。
VTuberの6つの収益モデル
急拡大するVTuberの市場規模ですが、ビジネスモデルがわかりにくいと思う方もいるでしょう。VTuberの主な収益モデルは、以下の6種類があります。
- 広告収入
- 投げ銭(スパチャ)
- グッズ販売
- ファンクラブ・メンバーシップの収入
- イベントの出演料
- 企業案件の報酬
VTuberのビジネスモデルの理解を深めるために、各収益モデルについて詳しく解説します。
収益モデル① 広告収入
YouTuberの収益モデルの代表例は広告収入です。VTuberも同様に、動画の前や途中に流れる広告料金の一部が収入になります。
一般的に動画1回再生されるごとに0.05円~0.7円の広告収入を得られます。動画再生数が多いほど収入が増える仕組みです。
ただし、YouTubeで動画を収益化するには以下の条件を満たす必要があります。
- 1,000人以上のチャンネル登録者数がいる
- 以下のいずれかを満たしている
- 長尺動画が過去365日間で4,000時間以上視聴されている
- ショート動画が過去90日間で1,000万回以上視聴されている
収益モデル② 投げ銭(スパチャ)
2つ目の収益モデルは、投げ銭やスパチャと呼ばれる視聴者から送られるお金を受け取ることです。
YouTubeの投げ銭機能は、1回あたり100円~50,000円まで可能です。Vtuberにお金で支援できるため、ファンの「推し活」の1つとして投げ銭文化が定着しています。
収益モデル③ グッズ販売
VTuberの3つ目の収益モデルは、グッズ販売です。アバターをプリントした小物や衣類などをグッズ販売し、収入源の1つとしています。ECサイトやYouTubeショッピング機能を活用しオンラインで販売する方法が一般的です。
また企業においては、VTuberとのコラボグッズを作成することで、売上や認知度の拡大が期待できます。
収益モデル④ ファンクラブ・メンバーシップの収入
VTuberの4つ目の収益モデルはファンクラブやメンバーシップの月額料金です。
VTuberは無料で公開している動画以外に、ファンクラブ会員やメンバーシップ会員向けに動画を配信しています。これらの会員になるには月額料金が必要で、VTuberの安定した収入源となっています。
収益モデル⑤ イベントの出演料
VTuberの5つ目の収益モデルは、イベントの出演や開催です。
知名度・人気の高いVTuberには、芸能人などのようにイベントの出演が依頼されることもあります。また実在するアーティストと同様に、コンサートなどのイベントを開催することもあります。
バーチャルの存在であるVTuberが、イベントを開催するのをイメージしにくい方もいるかもしれません。しかし、すでに「Hololive SUPER EXPO 2023」のように数万人規模を動員するビッグイベントも開催されています。
収益モデル⑥ 企業案件の報酬
VTuberの6つ目の収益モデルは企業案件の獲得です。
VTuberは企業の依頼を受けて、商材を紹介したり、コラボをしたりすることがあります。このような企業案件はまとまった収入を得られるとして、VTuberの収入源の1つとなっています。
企業側の視点からすると、VTuberの影響力・発信力を利用することで、自社商材の認知度を高められるのが魅力です。そのため、広告の1つとしてVTuberを活用する動きが広がっています。
企業がVTuberを利用するメリット・デメリット
ここまではVTuberの概要やビジネスモデルについて紹介してきましたが、ここからは企業がVTuberをマーケティングで活用するメリット・デメリットについて紹介します。
メリット・デメリットの一覧は以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
・若年層へアプローチできる ・SNSとの相性が良い | ・ターゲット層が限定される ・炎上リスクがある |
メリット① 若年層へアプローチできる
VTuberは新しいコンテンツとして、若年層を中心に人気があります。株式会社SheepDogの「10代20代のVtuber動画視聴頻度に関するアンケート」によると、10代・20代の約43%がVTuberの動画を視聴すると回答しました。同調査結果からVTuberは、若年層向けのマーケティングに有効なコンテンツといえます。
メリット② SNSとの相性が良い
VTuberの視聴層は若者が中心です。その若者はSNSの利用率が高く、VTuberが発信した情報はSNSを介して拡散されます。TesTee(テスティー)の調べによると、「SNS利用に関する調査【2022年版/学生対象】」によると、学生のSNS利用率は97%以上でした。
Vtuberを活用するマーケティングのメリットは、VTuber自体の発信力に加えて、若者のSNSによる拡散力を利用できることといえます。
デメリット① ターゲット層が限定される
VTuberを利用するメリットは若年層にアプローチできることですが、言い換えれば中年層や高齢層のアプローチに向いていません。このようにターゲットが限定される点がデメリットです。
デメリット② 炎上リスクがある
VTuberは本人が顔や本名を出さずに活動できます。そのため、炎上するリスクは低いといえますが、ゼロではありません。
「中の人」と呼ばれる配信者や演者の過激な発言や行動により、炎上するリスクがあるためです。企業のブランドイメージが悪くなることも考えられるため、起用するVTuberの選定には注意が必要です。
企業系VTuberで発信力を強化する方法も
VTuberは若者を中心に視聴率が高いコンテンツです。近年、急速に市場が拡大しており注目を集めています。
企業においては、VTuberをマーケティングに活用することで、若者の認知度拡大につながるでしょう。また自社でマスコットキャラクターとしてVTuberを作成し、発信力を強化する方法もあります。
この機会に、VTuberを利用したマーケティングを検討してみてはいかがでしょうか。