コト消費(体験消費)とは?モノ消費・トキ消費との違いや成功事例

「モノ消費からコト消費へ」という言葉を聞いたことはありませんか?

これは消費行動が体験や経験といった価値を重視するようにシフトしたことを意味しています。

最近ではトキ消費やイミ消費といった「〇〇消費」が複数あり、意味を混同している方もいるでしょう。

そこで本記事では、コト消費・モノ消費・トキ消費の違いや成功事例について紹介します。

Contents

コト消費(体験消費)とは?

コト消費(体験消費)とは、商品の購入やサービスの提供により得られる体験や経験を重視する消費行動です。

例えば日本文化の体験教室や習い事への参加、舞台鑑賞などが挙げられます。

「いつごろから使われるようになったの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

実は2000年ごろから使われており、20年以上前から使われていました。

モノ消費との違い

モノ消費とは、モノを所有することや消費することに重きをおいた消費行動です。

簡単にいえば欲しい商品・サービスを購入することで、「ブランド品が欲しい」や「家を建てたい」、「魚が食べたい」などを満たす消費活動です。

つまり、コト消費とモノ消費はモノやサービスを購入する際に、重視する価値が異なります。

トキ消費との違い

コト消費をさらに発展させたのがトキ消費です。

トキ消費とは、その場・その日にしか体験できないなどの非再現性・限定性のある経験や体験を重視する消費行動です。

例えば、当日限定のイベントやフェスへの参加が該当します。

コト消費とトキ消費との違いは、非再現性・限定性があるかどうかになります。

Z世代のイミ消費とは

Z世代の消費行動として注目されているのがイミ消費です。

Z世代は1990年代中盤から2010年代序盤に生まれた世代のことで、現在の10代~20代が該当します。そのため、若者の消費行動を知るうえでも重要なキーワードとなります。

イミ消費とは、モノやサービスを購入することで、地域や社会に貢献することに重きをおいた消費行動です。

例えば、「売上金の一部が貧しい地域に寄付される商品を購入する」や「環境にやさしい衣類を選択する」といった具合です。

モノ消費からコト消費に変化した理由

モノ消費は基本的な消費活動で現在も多くあります。しかし、コト消費を重視する傾向が強まってきており、モノ消費からコト消費へシフトしているといえるでしょう。

その主な理由として以下の3つが挙げられます。

  • モノで溢れかえった社会
  • インターネットやSNSの普及
  • インバウンド消費の増加

モノで溢れかえった社会

現代社会は、技術の進歩により高品質で便利なモノで溢れかえっています。そのようななかでモノを所有する価値が薄れ、体験や経験といった目に見えない価値が重視されるようになったことが、モノ消費からコト消費に変化した理由です。

インターネットやSNSの普及

インターネットやSNSの普及がコト消費へのシフトの要因です。

なぜなら、インターネットの普及により、どこにいてもモノが購入できるようになったためです。そのためモノを所有することよりも、経験や体験が重視されるようになりました。

また、コト消費による経験や体験をSNSに投稿するのが一般的になったのも、シフトした理由といえます。

インバウンド消費の影響

モノ消費からコト消費にシフトした要因として、インバウンド消費の影響があります。

インバウンドとは外国人が訪日することなので、インバウンド消費は簡単にいえば外国人観光客の消費活動です。

その外国人観光客から人気なのは、「日本人の生活様式」「スキー・スノーボード」「日本食」などの体験です。

どこでも購入できるモノ消費よりも、日本でしか体験できないコト消費に価値を見出しているためでしょう。

つまり、多くの外国人観光客からの要望に対応するために、提供側もコト消費に対応したサービスが求められています。

これらの影響により、モノ消費からコト消費に変化したといえるのです。

コト消費は7種類

コト消費のビジネスモデルは以下の7種類に分類できます。

  • 純粋体験型コト消費
  • アトラクション施設型コト消費
  • イベント型コト消費
  • コミュニティ型コト消費
  • 時間滞在型コト消費
  • 買い物ワクワク型コト消費
  • ライフスタイル型コト消費

ビジネスに取り入れるためにも、各種類について理解を深めましょう。

純粋体験型コト消費

宿泊やアクティビティなど、そこでしか味わえない体験によるコト消費です。例えば、スキューバダイビングやスキーなどのアクティビティ、温泉旅行などが挙げられます。

アトラクション施設型コト消費

アトラクション施設でできる体験のコト消費です。テーマパークなどの施設だけではなく、美術館などの施設も含みます。

イベント型コト消費

イベント型コト消費とは、商業施設で行われるイベントを顧客の消費活動につなげる取り組みです。例えばマジックショーや有名人のトークショー、物産展などが挙げられます。

コミュニティ型コト消費

商業施設などで好きなモノが同じ人でコミュニティを形成することにより、モノ消費を促すコト消費です。

例えばスポーツバーで同じチームのファンのコミュニティが形成されたとします。すると、スポーツバーで情報交換や交流が行われるようになるため、スポーツバーでの消費活動につながるといった具合です。

時間滞在型コト消費

その場に長時間滞在してもらいながら、モノ消費を促すコト消費です。例えば、本屋に併設されたカフェが挙げられます。カフェでゆっくりと本を読めるようにすることで、顧客は長時間滞在しやすくなり、本や飲み物などのモノ消費につなげていく仕組みです。

買い物ワクワク型コト消費

買い物ワクワク型コト消費とは、その名のとおり顧客がワクワクする体験を得られるコト消費です。店内の雰囲気や商品の陳列方法、あるいはポップなどで楽しさを演出します。モノ消費につなげやすいコト消費といえます。

ライフスタイル型コト消費

ライフスタイル型コト消費は、顧客のライフスタイルに合わせたモノやサービスを提案・販売する手法です。顧客が望むライフスタイルの実現というコト消費によって、リピーターやファンの獲得が期待できます。

コト消費の成功事例

コト消費は、テーマパークなどのアトラクション施設にとどまらず、食品やアパレルなど様々な産業で取り入れられ成功を収めています。

そのなかで代表的な成功事例は以下の3つです。

成功事例① 東京ディズニーリゾート

東京ディズニーリゾートは、ディズニーランド・ディズニーシーを有する日本屈指のテーマパークです。ディズニーの世界観を体験できるコト消費で、人気を集めています。アトラクション施設型コト消費の典型といえるでしょう。

成功事例② 蔦屋書店

引用:蔦屋書店

蔦屋書店は本屋の中にカフェを併設することで、売上拡大に成功した書店です。多くの書店が売上低迷に悩むなか、書店の新たな取り組みとして注目を集めています。

また、子どもへの読み聞かせイベントや小物作りのワークショップを積極的に行うなど、本屋の新たな価値を創造しています。

成功事例③ FABRIC TOKYO

引用:FABRIC TOKYO

FABRIC TOKYOは、アパレル業界の成功事例です。

特徴的なサービスは、インターネットから3万円台でオーダースーツが注文できることです。

オーダーメイドという唯一無二のスーツにより、顧客のワクワク感を高めるだけではなく、ライフスタイルに合ったスーツを提供しています。

モノ消費からコト消費、さらにトキ消費へ!

モノ消費からコト消費にシフトしている現代、さらにトキ消費へと続くと予想されています。また、マーケティングとしても無視できないのが、Z世代を中心に支持されているイミ消費です。

つまり、体験や限定性、購入する意味といったプラスアルファの価値がビジネスで成功する秘訣といえるでしょう。これからのビジネスや新規事業のアイデア出しの参考にしてください。