
株式会社キーエンス(以下「キーエンス」)は、世界46カ国に250拠点を展開するグローバルな総合メーカーです。センサを中心に、工場の自動化(FA)に関する各種ソリューションの開発・販売を手掛けています。本記事では、成功企業の事例として、キーエンスの会社概要や業績、成長戦略について解説します。
キーエンスとは何の会社?

出典:キーエンス
キーエンスは、自動車・半導体・電子・電気機器など、幅広い業界に向けて製品を提供しています。商品例は以下のとおりです。
- センサ
- ハンディターミナル
- バーコードリーダ
- 三次元測定機
- タッチパネル
- マイクロスコープ
- 3Dプリンタ
このように多種多様な製品ラインナップを展開しており、取引先は世界で約35万社にのぼります。同社の特徴の一つは、高い営業利益率です。2024年度には営業利益率51.9%に達し、製造業としては異例の水準を誇っています。ここからは、高収益を支える背景として、キーエンスの会社概要や歴史、経営理念について詳しく紹介します。
会社概要
キーエンスの会社概要は以下のとおりです。
| 会社名 | 株式会社キーエンス |
| 本社 | 大阪市東淀川区 |
| 設立 | 1974年5月27日 |
| 連結従業員数 | 12,261人(2025年3月時点) |
| 売上高 | 1兆591億円(2024年度) |
| 営業利益率 | 51.9%(2024年度) |
出典:キーエンス「会社概要」
歴史
キーエンスは創業者の滝崎武光氏により、1974年にリード電気株式会社として設立されました。その後、本社を大阪へ移し、1986年に現在の社名に変更。1987年に大阪証券取引所、1989年に東京証券取引所へ上場しました。1985年のアメリカ法人設立を皮切りに、ドイツ・中国・インド・ブラジル・東南アジアなどへ進出し、グローバル展開を加速しています。
経営理念
キーエンスは創業以来、「会社を永続させる」ことを経営理念として掲げ、その実現に向けた経営を行ってきました。その経営方針の中核にあるのが、「最小の資本と人で最大の付加価値をあげる」という考え方です。特に重視しているのは、次の2点です。
- 付加価値の創造
- 事業の効率化
このような付加価値を追求する姿勢が、キーエンスの高い営業利益率の実現につながっています。
キーエンスの業績・経営状況
キーエンスの業績および経営状況について、売上高と営業利益の推移を中心に紹介します。

参考:キーエンス「経営指標」
まず、売上高の推移です。キーエンスの2024年度の売上高は1兆591億円となり、初めて1兆円を突破しました。営業利益についても同様です。2024年度の営業利益は5,498億円となり、過去最高を更新しました。
売上高の増加に比例して利益も拡大しており、事業規模の拡大と収益性の向上を同時に実現している点が同社の特徴です。その秘密である営業利益率の推移は以下のとおりです。

参考:キーエンス「経営指標」
キーエンスの営業利益率は50%を超える水準を長期にわたって維持しています。2024年度は51.9%に達しており、製造業としては異例ともいえる高水準です。さらに注目すべきは、新型コロナウイルスが世界中で流行した2019年以降の不確実性の高い局面においても、この高い水準を維持している点です。
このことは、キーエンスが景気変動や外部環境に左右されにくい、強固な経営基盤を構築していることを示しています。
国内事業・海外事業の売上高の推移
キーエンスは単一セグメントで事業を展開しているため、どの業界向けの製品が売上高に貢献しているのかは開示されていません。そこで、国内事業と海外事業の売上高の推移に着目し、同社の主要地域や成長の方向性を確認します。
キーエンスの近年の成長を牽引しているのは海外事業です。国内事業と海外事業の売上高の推移を比較すると、その傾向がよくわかります。

参考:キーエンス「経営指標」
国内事業の売上高も堅調に増加していますが、それ以上に海外事業の伸びが顕著です。2024年度の海外売上比率は64.8%に達しており、売上高全体の約3分の2を海外市場が占めています。
実際にどの国・地域で売上高を確保しているのかを、地域別売上高の構成割合から確認します。

参考:キーエンス「経営指標」
キーエンスの主要地域は、日本・アメリカ・中国の3カ国です。これらの地域で全体の売上高の68.8%を占めています。このように、世界の主要市場に収益源を分散させることで、安定した経営基盤を構築しています。
キーエンスの成長戦略
キーエンスの成長戦略における最大のキーワードは、「高付加価値化」です。同社は、付加価値を高めることを重視し、事業を展開しています。その結果、高い営業利益率を実現しています。このような高収益を可能にしているのは、キーエンス独自のビジネスモデルです。その中核をなる3つの要素を紹介します。
- 直販体制
キーエンスは、営業担当者が顧客と直接向き合う直販体制を採用しています。直販体制のメリットは、顧客の製造現場が抱える課題やニーズを正確に把握し、最適な製品やソリューションを提案できることです。この仕組みは顧客満足度を高め、現場の声を商品開発へと反映させることで新たな付加価値の創出にも貢献しています。
- 当日出荷体制
キーエンスは、注文を受けた製品を当日に出荷できる体制を構築し、顧客の製造現場に必要な部品や装置を迅速に届けています。必要なときにすぐ製品が手に入るという価値は、製造業にとって非常に大きなものです。このスピード対応は、キーエンスの高付加価値化を支える重要な要素の一つです。
- ファブレス経営
キーエンスは、自社工場を持たないファブレス経営を採用している点が特徴です。これにより、製造設備への多額の投資や固定費を抑えつつ、商品企画・研究開発・営業といった付加価値の創出に直結する領域へ経営資源を集中しています。この経営手法が、同社の高い利益率を支えています。
これらの3つの要素をうまく取り入れることで、キーエンスは高付加価値のビジネスモデルを実現しているのです。
参考:キーエンス「特徴的なビジネスモデル」
まとめ
キーエンスは、FA分野における世界的な総合メーカーです。直販体制・当日出荷・ファブレス経営といった独自のビジネスモデルによって高付加価値を創出し、2024年度には営業利益率51.9%という極めて高い水準を実現しています。
利益率に課題を感じている企業様にとって、同社の取り組みには参考となる点が数多くあります。この機会に、ビジネスモデルを見直してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
ここでは、キーエンスに関してよくある質問をまとめました。
Q1. キーエンスはどんな会社ですか?
キーエンスは、センサを中心に工場の自動化(FA)分野の製品・ソリューションを提供する総合メーカーです。製造業において自動化は、競争力を高めるための重要なテーマです。それを支える同社の製品は需要が高く、世界の35万社に製品を提供しています。
Q2. キーエンスの営業利益率が高いのはなぜですか?
営業利益率が高い主な要因は、独自のビジネスモデルです。具体的には、直販体制による顧客との関係構築、当日出荷による高い利便性、ファブレス経営による効率的な資源配分が挙げられます。このビジネスモデルが差別化につながり、高い営業利益率を支えています。
Q3. キーエンスは何で有名な企業ですか?
キーエンスは、センサ・測定機・画像処理機器など、工場の自動化や生産性向上に役立つ製品に強みを持つ企業です。営業利益率が高いことで知られており、「最小の資本と人で最大の付加価値をあげる」という考え方は、多くのBtoB企業から注目されています。
