
アスクル株式会社(以下「アスクル」)は、「明日商品を届ける」という意味の「明日来る」を社名の由来に持つ通信販売会社です。その名のとおり、全国に展開する物流センター11拠点を活用し、多くの地域で翌日配送を実現しています。BtoB(法人向け)とBtoC(個人向け)のどちらも展開している点が特徴です。本記事では、アスクルの会社概要や業績、事業内容をわかりやすく解説します。
アスクルとは何の会社

出典:アスクル株式会社
アスクルは、オフィス用品や日用品を中心に、BtoB向けに約1,481万点、BtoC向けに約105万点の商品を取り扱う国内大手の通信販売企業です。主なブランドは法人向けの 「ASKUL」と、個人向けの「LOHACO」です。会員数は「ASKUL」が約569万件、「LOHACO」が約1,010万件にのぼります。
ここからは、アスクルの会社概要や歴史、経営理念について紹介します。
会社概要
アスクルの会社概要は以下のとおりです。
| 会社名 | アスクル株式会社 |
| 本社 | 東京都江東区豊洲 |
| 設立 | 1963年11月 |
| 創業 | 1993年3月 |
| 従業員数 | 3,697名(2025年5月20日時点) |
| 物流センター | 全国11拠点 |
| 売上高 | 4,811億円(2025年5月期) |
| インターネット経由売上高比率 | 89.2%(2024年5月期) |
出典:アスクル「会社概要」
また、同社の筆頭株主はソフトバンクグループ傘下のLINEヤフー株式会社で、2025年5月20日時点の持株比率は46.84%に達しています。つまり、アスクルはLINEヤフー株式会社の関連会社であることから、ソフトバンクグループの一員と言えます。
歴史
アスクルは、総合事務用品メーカーのプラス株式会社のステープル(コの字型の針)製造子会社として、1963年に設立しました。1990年にプラス株式会社内で、新しい流通のあり方を模索する「ブルースカイ委員会」が発足し、同委員会の構想からアスクル事業が誕生。1993年に関西地域から事業所向け通販サービスのアスクル事業を開始しました。
その後、本州や四国へ順次エリアを拡大。1997年にインターネット受注を開始しました。同年、プラス株式会社よりアスクル事業の営業を譲り受け、アスクル株式会社として正式にスタートしました。
1998年に、東京23区内で当日配送サービスを開始。以降、東京・大阪・仙台・福岡など、全国に物流センターを開設し、配送日指定サービスやMY ASKULなどユーザーの利便性を高めるサービスを導入しました。
2000年代になると、医療・介護用品、MRO(工場向け間接材)など、新たな市場へ事業領域を拡大。オフィス以外の専門領域にも事業を広げることで、存在感を高めていきました。
2012年にはヤフー株式会社と業務資本提携契約を結び、一般消費者向けインターネット通販サービス「LOHACO(ロハコ)」を開始。これによりBtoB向けの「ASKUL」と、BtoC向けの「LOHACO」のブランドを軸とする事業体制が確立しました。
2020年代はDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、経済産業省の「DX認定事業者」の認定を取得。2025年には、「デジタルトランスフォーメーション銘柄2025」に3年連続で選定されています。
企業理念
アスクルの企業理念は、「お客様のために進化する」です。この理念は、2020年に刷新された「ASKUL WAY」にもDNAとして受け継がれており、同社の根幹をなす考え方として位置付けられています。また、「ASKUL WAY」は、Purpose(存在意義)・Values(価値観)・DNAの3つで構成され、アスクルが進むべき道を示す指針です。
■Purpose
仕事場とくらしと地球の明日に
「うれしい」を届け続ける。
■Values
- 変革と最速
- 多様性と共創
- 誠実と誇り
■DNA
お客様のために進化する
DNAは、PurposeとValuesをつなぐ要素です。創業以来大切にしてきた企業理念を企業活動の中心に据えています。
アスクルの業績・経営状況
アスクルの業績・経営状況として、2015年から2025年までの売上高と営業利益の推移を紹介します。

参考:アスクル「業績・財務ハイライト」
※2022年以降、売上高や販管費、一般管理費の計上方法が変更されています。
アスクルの売上高は堅調に伸びており、2025年5月期には過去最高の4,811億円を達成しました。一方で、近年の営業利益は140億から170億円で推移しており、2025年5月期は140億円となりました。前年比で29億円減となり、売上が伸びているにも関わらず、営業利益は減少しています。
アスクルの事業別売上高の構成割合
アスクルの主要事業は、「eコマース事業」と「ロジスティクス事業」で構成されています。各事業が売上高に占める割合は、次のとおりです。

参考:アスクル「決算資料・動画配信」
このように売上高の大部分をeコマース事業が占めています。ここからは、各事業の事業内容と売上高・営業利益の推移を紹介します。
eコマース事業
eコマース事業は、事務用品を中心に食品や飲料、日用品などの通信販売を担う事業です。売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:アスクル「決算資料・動画配信」
同社の売上の大半を占める事業であることから、全体の業績と同じように2025年は売上高が過去最高を更新する一方で、営業利益は減少に転じています。営業利益の減少には、主に次の2つの要因が影響しています。
- 利益率の低下
為替変動や仕入価格の上昇などによるコスト増が利益を圧迫。
- 固定費の増加
新物流拠点の整備と基幹システム刷新に伴う設備投資が増加。
固定費増加の要因の一つである関東圏の新物流拠点「ASKUL関東DC」は、全国11拠点目として2025年6月20日に稼働を開始しており、今後は拠点集約による配送効率の向上を通じて変動費削減が期待されています。
また、eコマース事業は、さらに次の3つのサブセグメントに分けられています。
- ASKUL事業:BtoB事業
- LOHACO事業:BtoC事業
- グループ会社・内部取引消去:グループ会社のBtoB・BtoC事業
各サブセグメントが売上高に占める割合は以下のとおりです。

参考:アスクル「決算資料・動画配信」
このグラフから、アスクルの売上の中心はASKUL事業ということがわかります。
ロジスティクス事業
ロジスティクス事業は、企業向け物流・小口貨物輸送サービスを展開している事業です。売上高・営業利益の推移は以下のとおりです。

参考:アスクル「決算資料・動画配信」
直近は赤字が続いており、売上高も減少傾向にあります。そのため、eコマース事業がロジスティクス事業の損失を補う形で全体を支えている状況です。
アスクルの今後の展望
アスクルは今後の成長戦略として、「2026年5月期~2029年5月期 中期経営計画」を策定しています。同計画では、成長余地の大きい対人サービス業種を戦略ターゲットに位置付けており、特に以下の6業種に注力する方針を示しています。
- 医療
- 介護
- 宿泊
- 飲食
- 小売
- サービス
これらの業種に共通する「仕事場の日用品」市場は、50兆円規模とされ、アスクルはこの巨大市場を次の成長領域と捉えています。
その市場の攻略に向けて、同社が掲げる重点テーマは次の3つです。
1. ニーズに即した品揃えの強化
2. 価格競争力およびオリジナル商品による差別化
3. 売り場(サイト)の利便性強化
また、これらの実現のために、AIを積極的に活用する戦略を打ち出しているのも特徴です。こうした施策により、アスクルは2029年5月期に売上高5,400~6,000億円、営業利益率3.7~5.0%の達成を目指しています。
まとめ
アスクルは、翌日配送を強みとする国内大手の通信販売企業で、事務用品から日用品まで幅広い商材を扱う点が特徴です。特にBtoB向け「ASKUL事業」が売上の中心で、同社の成長を牽引しています。豊富な品揃え、物流網、デジタル活用を組み合わせたビジネスモデルは、BtoB・ECの成功事例として学べる点が多くあります。新規事業や事業拡大にお悩みのご担当者様は、アスクルの事業展開を参考にしてみてはいかがでしょうか。
