阪神タイガース優勝による経済効果は872億円!?

2023年9月14日に阪神タイガースは宿敵の巨人に勝利し、自らの手で18年ぶりのセ・リーグ優勝を決めました。阪神タイガースファンは、待ちに待った瞬間の到来に喜びを爆発させたことでしょう。

野球チームが優勝すると期待するのは「優勝セール」です。野球に詳しくなくても「優勝セール」を楽しみにしている方は多く、ビジネスをしている方にとっても地域一帯に大きな経済効果を与えてくれるので絶好のチャンスです。

しかし野球チームが優勝すると、本当はどれくらいの経済効果があるのか気になりませんか。そこで本記事では、今回の阪神タイガースのリーグ優勝による経済効果について紹介します。

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経済効果の前に!阪神タイガースの優勝で押さえるべきキーワード

阪神タイガースは9月14日、怒涛の11連勝によりリーグ優勝を果たしました。史上最速のリーグ優勝決定で、今年の阪神タイガースの強さを象徴する締めくくりといえるでしょう。

阪神タイガースが優勝したことで、一躍全国に知れ渡ったキーワードが「あれ」です。「あれ」は優勝を意味する言葉で、岡田監督は選手が優勝を意識しすぎないように、「優勝」というキーワードをあえて伏せていました。

2023年のチームスローガンも「A.R.E.」で、今年の阪神タイガースを語るうえで外せないキーワードです。

快進撃とともに「あれ」や「パインアメ」がブームに

出典:株式会社ヘソプロダクション

今年の阪神タイガースで注目を集めたのは、独特の語り口の岡田監督でした。

パインアメは岡田監督の好きなアメで、試合中に7~8粒食べるというほど好きなのだそうです。それを知った同社が1,000粒を岡田監督に贈呈し、その後阪神タイガースが好調を維持したことから、ファンのあいだでも縁起ものとしてブームになりました。

優勝した今ではあまりの受注量に対応できなくなり、9月26日時点においてパインアメの公式ECサイトでは注文を一時停止しているほどです。また「あれ」と「パインアメ」がコラボした「パインアレ」は、販売開始からわずか30分で売り切れるほど人気です。

このように多くのブームを巻き起こしていることからも、人気球団の18年ぶりの優勝争いがどれほど注目を集めていたのかが伺えるでしょう。

阪神タイガース優勝の経済効果は関西において872億円と試算

関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算によると、阪神タイガースのリーグ優勝の経済効果は、関西地域において約872億2,114万円と試算されました。

人気球団の巨人が優勝した際の経済効果は、同氏の試算によると500億~650億円であることから、今回の阪神タイガース優勝が及ぼす経済効果は大きいといえるでしょう。

宮本勝浩氏は国内に経済効果という概念を広め、経済学の楽しさを伝えている経済学者です。具体的には2003年の「阪神優勝の経済効果」の発表を皮切りに、観光・スポーツ・イベントなどの経済効果を次々と発表しています。また著書には「経済効果ってなんだろう?」や「大阪経済学」などがあります。

阪神タイガースが過去に優勝した際の経済効果

阪神タイガースのリーグ優勝回数は6回です。このなかで経済効果が試算されているのは、前回と前々回の2003年、2005年の優勝です。

2005年は同じく岡田監督が率いて優勝していますが、経済効果は643億円で今回よりも200億円以上少なくなっています。対して2003年の優勝時の経済効果は1,481億円でした。

2003年は今回と類似点が多くあります。

2003年は史上最速でマジックを点灯させ、優勝したのが2003年9月15日と今回とほぼ同じです。2つ目の類似点は、18年ぶりの優勝という点です。

また2003年に率いた星野監督は「打倒巨人」を掲げ、野球に対する熱い姿勢から燃える男や闘将と呼ばれ、多くの人を魅了しました。同年におこなわれた巨人の原辰徳監督の退任セレモニーで、花束を渡し抱き合ったシーンに涙した方も多いでしょう。

この点も、岡田監督の動向が注目を集めているのと似ているといえます。

今回は2003年の1,481億円には届かないとみられていますが、前回よりも大きく拡大しています。今回拡大した要因は、これらの類似点にヒントがあるかもしれません。

阪神タイガース優勝の経済効果が大きいと試算された理由

今回の阪神タイガース優勝の経済効果が大きいと試算された理由は、「18年という期間の長さ」と「コロナ禍の反動」が挙げられます。

・18年という期間の長さ

2003年は、18年ぶりの優勝に多くの人が歓喜したことで、経済効果が大きくなりました。しかし2005年の優勝は、2年ぶりなので久しぶりとはいえません。結果、800億円以上も規模が縮小してしまいます。

今回は18年ぶりの優勝となるため、2003年と同様に多くの人が歓喜すると予想され、大きな経済効果になると見込まれています。

・コロナ禍の反動

2020年から始まったコロナ禍による自粛生活は、多くの人にストレスを与えました。今年になると規制が緩和され、ようやく自粛生活に終わりがみえ、現在は2019年以前の生活に戻りつつあります。

そのため、コロナ禍でたまったストレスの反動と、優勝の喜びが相まって飲み会や祝勝会などが増えるとみられています。

近年優勝した大会・チームの経済効果との比較

阪神タイガースの経済効果の規模を確認するために、他の野球イベントにおける経済効果と比較します。比較対象は近年優勝し、話題になった以下の大会・チームです。

・2023年 ワールド・ベースボール・クラシック

・2022年 東京ヤクルトスワローズ

2023年 ワールド・ベースボール・クラシック

2023年におこなわれた第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、大谷選手やヌートバー選手らの活躍により、日本中が注目しました。想定以上の盛り上がりをみせたことで、開幕前に596億円と見込まれていた経済効果は654億円に増えます。

2017年の第4回WBCで優勝した場合の経済効果は、343億円の試算であったことから、前回大会より250億円以上の増加といえます。

あれほど盛り上がった第5回WBCですが、経済効果は2005年の阪神タイガース優勝時と同規模です。このことから阪神タイガースが優勝すると、経済効果が大きくなる傾向にあるといえるでしょう。

2022年 東京ヤクルトスワローズ

阪神タイガースと同じセ・リーグの2022年の優勝チームは東京ヤクルトスワローズで、経済効果は451億円でした。コロナ禍という観客動員数が増えにくい時期でありながら、大きな経済効果を生み出しています。しかし、2023年の阪神タイガースの経済効果はその約2倍にもなります。

関西の2チームによる日本シリーズが実現すれば…

セ・リーグを制覇した阪神タイガースですが、日本一のチームになるには、クライマックスシリーズ、日本シリーズを勝ち抜く必要があります。

ここで注目されているのは、パ・リーグのオリックス・バファローズです。オリックス・バファローズは、阪神タイガースと同様に関西に本拠地を持つチームで、9月26日時点でパ・リーグ1位です。

もし双方のチームがクライマックスシリーズに勝ち、日本シリーズに出場すれば、関西地域への経済効果はさらに大きくなることが容易に想像できます。

関西地域の経済の起爆剤となる可能性があるため、双方の今後の行方を注視しましょう。