今さら聞けないメタバースとは?概要やビジネスにおける活用例を紹介

Facebook社は社名を「Meta(メタ)」に変更し、新型VRヘッドセットの「Meta Quest 3」を発売するなどメタバース領域への投資を加速させています。国内では、2026年にメタバースの市場規模が1兆円に達するとの試算もあります。

しかし、「メタバースとは何か?」「何ができるのか」など疑問を持っている方もいるでしょう。

本記事では今さら聞けないという方に向けてメタバースの概要や特徴、ビジネスにおける活用例について紹介します。

Contents

メタバースとは

メタバースとは、メタ(超越)とユニバース(世界)を組み合わせた造語です。簡単にいえば仮想空間においてユーザーが自身の分身であるアバターを操作し、生活を送れるサービスです。メタバースでは、他者とのコミュニケーションや街の散策、買い物、オンラインイベントへの参加などができます。

メタバースが注目されたのは、今回のFacebook社が初めてではありません。2003年にリリースされた「Second Life(セカンドライフ)」は、日本でもブームになりました。セカンドライフでは他者とのコミュニケーションだけではなく、セカンドライフ内の不動産の売買で実際に利益を得ることもできました。メタバースがビジネスにつながることを示した先駆けといえます。

近年ではバーチャルオフィスやオンライン会議、バーチャルライブなどにも利用され、メタバースが身近になっています。

メタバースが注目される理由 

大手企業が続々と参入するほど、メタバースが注目されている理由は以下のとおりです。

  • オンラインコミュニケーションの進化
  • NFTの実用化
  • Facebook社の社名変更と大規模投資
  • VR機器の発達・普及

オンラインコミュニケーションの進化

インターネット技術が発達し、ビデオ通話やボイスチャットなどオンラインコミュニケーションが進化しました。ビジネスにおいてもオンライン会議が珍しくなくなっています。このようなオンラインコミュニケーションをさらに進化させるためのツールとして、メタバースが注目されているのです。

NFTの実用化

NFTとは、デジタルデータが複製されない本物のデータであることを証明する技術です。NFTの実用化により、複製しやすいデジタルデータに付加価値が与えられ、デジタルデータが仮想通貨で売買されるようになりました。NFTの技術を用いることで、メタバース内で経済活動が行いやすくなったことも注目されている理由です。

Facebook社の社名変更と大規模投資

Facebook社は2021年10月にMetaに社名を変更し、世界に大きな衝撃を与えました。これはFacebook社がメタバース領域へ本格的に参入することを意味していたためです。またFacebook社は、ユーザー数が29億人のSNS「Facebook」を運営している企業です。Facebookの影響力の大きさから、他企業もメタバース事業へ続々と参入しました。さらにMeta社は1年間に100億ドルをメタバース領域に投資する計画を発表しています。関連企業のビジネスチャンスが拡大したことも注目されている理由です。

VR機器の発達・普及

VR(Virtual Reality)とは仮想現実を意味し、専用のゴーグルに360°の映像を表示することで仮想空間にいるかのような体験ができるデバイスです。VRがあれば、まるでメタバース内に存在しているかのような体験ができることから、メタバースと相性の良いデバイスといえます。

そのため、Meta社もVRの開発を積極的に行っており「Meta Quest 3」を発売しているほどです。またMeta社以外にも多くの企業がVRの開発・販売をしており、VRの普及もメタバースが注目される理由といえます。

ビジネスにおけるメタバースの活用例

メタバースをどのようにビジネスにつなげればよいか悩んでいる方もいるかもしれません。そこで、この章では以下の5つの活用例について紹介します。

  • バーチャルショップ
  • バーチャル観光
  • メタバースオフィス
  • オンラインイベント
  • オンライン研修

バーチャルショップ

バーチャルショップはメタバース上の店舗のことです。実店舗のように、メタバース上で店舗に訪れた客に対して商品を販売できます。

デジタルデータの売買だけではなく、コスメやアパレルなどの実物を購入することも可能です。ECショップと違うのは、友人のアバターと一緒に買い物を楽しめる点です。

世界中のユーザーが来訪できるので、ビジネスにおいても可能性のある分野といえます。

バーチャル観光

出典:バーチャル沖縄

バーチャル観光は、メタバース上で観光地などを再現し地域の魅力を発信する取り組みです。例えば沖縄県では、バーチャル沖縄と題したメタバース上の沖縄でイベントを開催しています。

ユーザーからするとバーチャル観光は、イベントを楽しむだけではなく旅行先の下調べにもなります。つまり地域の魅力を世界中に発信することで、観光客を呼び込むためのツールとしてメタバースを活用することも可能です。

メタバースオフィス

メタバースオフィスとは、仮想空間上のオフィスのことです。メタバース上で複数人が集まって、実際のオフィスのように会議や会話ができるのが特徴です。テレワークなどで社員がオフィスを離れて働く際には、孤独感やコミュニケーション不足が課題になりやすいですが、メタバースオフィスを活用することで解決が期待できます。

オンラインイベント

出典:バーチャルマーケット2023 Winter

オンラインイベントを開催する活用方法もあります。音楽フェスやバーチャルマーケット、ファッションショーなど、すでに多くのイベントが開催されています。メタバースのオンラインイベントの特徴は、会場内をアバターで散策したり、他の参加者と交流したりできることです。まるでイベント会場にいるかのような体験を提供できます。

メタバースでオンラインイベントを開催するメリットは、場所や会場のキャパシティなどの制限がないことです。例えばバーチャルマーケットは2018年から開催されているオンラインイベントで、世界中から100万人以上が来場します。メタバース上であれば、これほど多くの人を場所の制約を考えずに集客できます。リアルのイベントにはないメリットといえるでしょう。

オンライン研修

出典:大林組

メタバースは研修や職業トレーニングにおいても活用されています。例えば建設業界大手の大林組の取り組みです。大林組では、メタバースとVRを活用した玉掛け作業のトレーニングコンテンツを作成し技能者の教育に利用しています。メタバース内であれば、作業員の安全を確保しながら技術の習得を目指すことが可能です。

ほかにはメタバースで講師が授業を行い、受講生がアバターでディスカッションをするなどの取り組みもあります。

4.0 注目のメタバースをビジネスに活用しよう

Meta社が大規模な投資を発表したことにより、メタバースは注目を集めている分野です。これまでにはないビジネスの創出やより良いサービスを提供できる場として期待されています。今後、市場規模が拡大するとみられており、続々と大手企業がメタバースに参入しています。このような流れに乗り遅れないように、自社のビジネスにメタバースを活用してみてはいかがでしょうか。