IoTの次に注目されるIoBとは!意味や活用事例をわかりやすく紹介

現代は、さまざまな製品にインターネットを組み合わせることで、新たなサービスが次々に生み出されています。例えば、冷蔵庫がインターネットとつながることで、スマートフォンで外出中に冷蔵庫の中身を確認できるなどです。

このような現代で、次世代の技術として注目されているのがIoBです。IoBとは、身体のインターネットや行動のインターネットと呼ばれる技術を指します。

本記事では、新規事業のアイデアを探しているビジネスパーソンに向けて、IoBの意味や活用事例をわかりやすく紹介します。

Contents

IoBとは

IoBとは簡単にいえば、身体がインターネットにつながる技術のことです。厳密には「Internet of Bodies(身体のインターネット)」と「Internet of Behavior(行動のインターネット)」の略語です。ここではIoBについて理解を深めるために、2つの意味を解説します。

Internet of Bodies(身体のインターネット)

IoBの1つ目の意味は、Internet of Bodies(身体のインターネット)で、人間の身体とインターネットをつなげる技術のことです。

例えば、IoBデバイスを身に付けて脈拍や心拍、睡眠状態などの情報を収集してデータを睡眠改善などに役立てる取り組みを指します。

IoBデバイスはスマートウォッチのように、身に付けるタイプもあれば、体内に埋め込むデバイスもあります。

Internet of Behavior(行動のインターネット)

IoBの2つ目の意味は、Internet of Behavior(行動のインターネット)です。

行動のインターネットとは、個人の位置情報や行動履歴、購買履歴などの行動情報をインターネットに接続する技術を指します。

例えば、スマートフォンとGPSを利用して、ユーザーの位置情報を割り出すといった具合です。

身体のインターネットは生理的な情報の収集・取得をするのに対して、行動のインターネットは人間の行動に関する情報を収集する点に違いがあります。

IoBが注目される背景

IoTが普及している現代において、次に注目されている技術がIoBです。しかし、「なぜIoBなのか?」と思う方もいるでしょう。ここでは、IoBが注目される3つの背景を紹介します。

新型コロナウイルスの流行

IoBが注目される背景は、新型コロナウイルスの流行期にさまざまなIoBを活用したサービスが登場し、普及したことです。

例えば、新型コロナウイルスの感染対策として、感染者の行動情報から濃厚接触者を特定するアプリの利用が推奨されました。

このアプリの仕組みは簡単にいえば、スマートフォンの位置情報をもとにした行動履歴を保存し、発症すると潜伏期間から接触したアプリ利用者を割り出すものです。

このような個人の生体認証や行動履歴を組み合わせたサービスが急速に拡大したため、注目を集めているのです。

製品ライフサイクルの短縮化

現代は「技術革新のスピードの速さ」や「顧客や市場のニーズの変化の速さ」から、製品ライフサイクルの短縮化が進んでいます。

製品ライフサイクルの短縮化に対応するには、消費者のニーズや情報を他企業よりも早くキャッチする必要があります。

そこで、消費者の行動履歴や購入履歴などを収集・分析し、消費者のニーズの変化を迅速に把握することを目的にIoBが注目されているのです。

技術の進化

IoTの普及に伴い、通信速度の向上やデバイスの機能性の向上など、さまざまな関連分野で技術が進化しています。

例えば、スマートフォンはバッテリーの小型化・大容量化で、ひと昔前と比較すると長時間の利用が可能になりました。

また、ハードウェアの技術の発展だけではなく、AIや情報処理の技術も進歩しています。

このようにデータを収集するデバイスと、膨大なデータ量を処理できるソフトウェアの技術が進化したことで、IoBは実現可能な技術となり注目されているのです。

IoBの活用事例4選

「どのような内容がIoBに該当するのか」や「IoBの取り組み例を知りたい」という方もいるでしょう。そこで、この章ではIoBを具体的にイメージしやすいように4つの活用事例を紹介します。

事例① スマートウォッチを活用した睡眠アプリ

睡眠アプリとは、睡眠の時間やリズムなどのいわゆる睡眠パターンを把握できるアプリのことです。自分の睡眠パターンを学習し、睡眠の質を高められるとして人気があります。

睡眠アプリは、スマートウォッチと連携することで、より精度の高い情報を収集できます。

スマートウォッチに搭載されているセンサーにより、睡眠時の動きや心拍数などから、眠りの深さや途中で目を覚ました回数などをチェックできるためです。

スマートウォッチは常に身に付けやすいことや生体情報を取得できることから、IoBと相性の良いデバイスといえるでしょう。

事例② ペースメーカー

ペースメーカーとは、不整脈などの心臓の脈拍が遅くなる疾患に対して用いられる医療機器で、心臓に直接電気刺激を与えて心臓を動かします。

心臓の動作をデバイスが補助していることから、IoBの代表的な活用例です。

ペースメーカーは一般的に体内に埋め込むため、患者本人が動作の異常を早期に発見するのは容易ではありません。

そこで、現在では埋め込み型のペースメーカーの使用者に対して、遠隔で異常がないかをチェックするシステムが登場しています。ペースメーカーが異常を感知するとサーバーにデータを送信し、医師や臨床工学技士に伝えるといった仕組みです。このような仕組みも、IoBの活用事例といえます。

事例③ 受験時の不正行為対策ツール 

教育分野での活用事例は、受験時の不正行為の対策ツールです。

高校や大学、国家試験などの受験では試験管が目視で不正をしていないかを監視しています。しかし、スマートフォンを悪用したカンニングが度々ニュースで報道されるなど、不正行為をする受験者がいます。

そこで開発されたのは、リアルタイムでカンニングをしていないか監視するAIツールです。具体的には、試験場の様子を撮影したカメラをリアルタイムでAIがチェックし、一般的な受験者と逸脱した動きをすると異常として感知する仕組みです。

注意すべき人物をAIにより洗いだせることから、試験管の補助や公正な試験の実施に役立つと期待されています。

事例④ 高齢者向け見守りGPSサービス

認知症の高齢者は、外出した後に自宅へ帰れずに行方不明となるケースが増えています。実際に、警察庁生活安全局人身安全・少年課の「令和4年における行方不明者の状況」によると、2022年の80歳以上の行方不明者数は13,749名で増加傾向です。

そのため、家族に高齢者がいる方のなかには、いつか行方不明にならないかと心配している方もいるでしょう。

そこで開発されたのが高齢者向けの見守りGPSサービスです。GPSで位置を取得してデータを送信できるデバイスやスマートフォンを高齢者に持たせることで、いつでも場所を把握できるサービスです。

高齢者の家族が道に迷った場合でも、すぐに場所を把握して迎えに行けるため、家族の安心につながります。

このようなGPSを活用したサービスは、IoBの代表的な事例といえます。

身体とインターネットを組み合わせてみよう

IoBは、身体のインターネットや行動のインターネットと呼ばれ、人の行動情報や生命情報とインターネットを組み合わせた技術です。IoTの次の技術とされ、多くの分野から注目されています。新規事業のアイデアに悩んでいる経営者は、身体とインターネットを組み合わせた事業案を検討してみてはいかがでしょうか。