
新規事業や新商品の開発、業務フローの改善などのプロジェクトは、企業の成長に欠かせない取り組みです。そのようなプロジェクトで成果を上げるには、適切な振り返りが重要です。
しかし、「どのように振り返ればいいのか」と悩んでいるビジネスパーソンもいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方におすすめしたいのがKPT法です。KPT法は、次のアクションにつながりやすい振り返りの手法として、幅広い分野で活用されています。本記事ではKPT法の基本や進め方、具体例、成果を上げるためのコツをわかりやすく解説します。
KPT法とは?振り返りのフレームワーク
KPT法は、3つの要素から振り返りを行うフレームワークです。それぞれの要素は次のとおりです。
- Keep:良かった点や継続すべき点
- Problem:課題や問題点
- Try:課題や問題点を解消するためのアクション
名前はこの3つの頭文字から取られており、日本では「ケーピーティー法」や「ケプト法」と呼ばれています。
KPT法の進め方
KPT法でプロジェクトの成果を上げるには、正しい手順で行うことが大切です。ここでは、KPT法の進め方の手順を解説します。
手順① 必要物品・フォーマットを準備する
まずは、振り返りを行うための環境を整えます。必要物品は以下のとおりです。
- ホワイトボード
- 付箋
- ペン(参加メンバー全員分)
事前に参加メンバーに議論のテーマや目的を共有しておくと、当日の議論がスムーズに進みます。
そして、議論を始める前に、ホワイトボードにKPT用のフォーマットを作成します。作り方はとても簡単で、ホワイトボードを縦に2等分し、左側をさらに2等分して完成です。

手順② KeepとProblemを洗い出す
次に、テーマに対するKeepとProblemを洗い出します。具体的には、参加メンバーがそれぞれ付箋に書き出し、ホワイトボードに貼っていきます。
この手順では、MECE(漏れなく、重複なく)を意識して整理すると効果的です。また、ブレインストーミングの考え方を取り入れることで、より多くの意見を引き出すことができます。
それぞれの考え方の詳細については、「MECE(ミーシー)とは」や「ブレインストーミングとは」の記事をご参照ください。
手順③ 抽出した内容について議論する
洗い出したKeepとProblemをもとに、チームで以下の内容について議論します。
- Keepをさらに良くする方法
- Problemを改善する方法
議題が多い場合は、限られた時間内に議論をまとめるために、優先度をつけて対象を絞ることが重要です。
手順④ Tryの具体的な内容を決定する
議論の結果をもとに、Tryの欄を埋めます。具体的には誰が、いつまでに、何を行うのかを明確にします。この際のポイントは、目標値を設定することです。指標があることで、次回の振り返りの際に、より深い議論ができるようになります。
手順⑤ 決定事項を共有し実行する
決定したTryはチーム全体で共有し、実行に移します。
KPT法は定期的に実施することで、さらに高い効果が期待できます。何度も振り返ることでプロジェクトの問題点をその都度改善でき、成果の向上につながるためです。このことから、次回の開催予定をあらかじめ決めておくことも有効な運用方法です。
KPT法の具体例
KPT法は、幅広い分野で活用されています。ここでは、よく見られるビジネスシーンの具体例を紹介します。
アジャイル開発の振り返り
アジャイル開発とは、短いサイクルで機能の開発とリリースを繰り返しながら、最終的な完成を目指す手法です。システム開発で広く用いられています。アジャイル開発を効果的に進めるためには、サイクルやリリースごとに振り返りを行うことが重要です。その振り返りの方法として、KPT法が活用されています。
アジャイル開発の詳細については、「アジャイル開発とは」の記事をご参照ください。
新規事業の振り返り
新規事業では、不確実なことが多いため、状況に応じた素早い対応が求められます。そのため、定期的なKPT法の実施が有効です。
例えば、テストマーケティングの結果からKeepで自社商品の強みを把握し、Problemで販売体制の課題を抽出します。そして、Tryで販促体制を改善することで、事業の成長につながるでしょう。
このように、KPT法は新規事業の振り返りに役立ちます。
KPT法を活用するメリット

KPT法には、次のようなメリットがあります。
- 課題の早期発見
課題や問題点を多角的な視点から発見できます。
- チームのコミュニケーションの活発化
意見交換を通じて、メンバー間の連携が強化されます。
- 手順がシンプルで実施しやすい
簡単に取り組めるため、導入のハードルが低いのがメリットです。
- 汎用性が高い
幅広い分野で活用できます。
- 次のアクションにつながりやすい
具体的なTryを設定することで、改善策を実行しやすくなります。
KPT法はこのようなメリットがあるため、実施することでプロジェクトの進行がスムーズになり、成果の向上も期待できます。
KPT法を活用するデメリット
一方で、KPT法には以下のようなデメリットもあるため注意が必要です。
- Keepを軽視しやすい
KPT法はProblemの議論が中心になりやすく、Keepが軽視されると、前向きな振り返りができなくなります。
- 意見が偏る可能性がある
参加メンバーによっては意見が偏り、全体の意見を十分が反映されない可能性があります。
KPT法を導入する際は、これらの点を意識し、バランスの取れた議論を心がけることが重要です。
成果を上げるためのKPT法のコツ
KPT法の効果を高める4つのコツを紹介します。
コツ① Keepも十分に取り上げる
振り返りにおいて、良かった点や継続すべき点を共有することは重要です。チームのモチベーションの維持・向上に加え、強みを再確認できるためです。ポジティブな視点を持つことで、前向きな議論ができます。
コツ② 発言しやすい環境をつくる
KPT法で効果的な議論を行うには、KeepとProblemの量が重要です。そのためには、メンバーが自由に意見を出せる環境づくりが欠かせません。具体的には、アイデアの量を重視するブレインストーミングの手法を取り入れましょう。安心して意見を出せる場が整えば、多様な意見が集まり、議論の質も高まります。
コツ③ ファシリテーターを設定する
ファシリテーターとは、議論の司会進行や調整を行う役割を担う人のことです。ファシリテーターには、議論の方向性や時間配分を管理し、全員の意見を引き出すことが求められます。また、特定の発言者に偏らないように進行することも重要です。
コツ④ 定期的に実施する
KPT法は定期的に実施することで、より高い効果が得られます。繰り返すことで、Tryの内容が具体的になり、成果につながりやすいためです。そのため、あらかじめ実施のタイミングを設定し、定期的な振り返りを習慣化することが大切です。
KPT法を実施する際は、これらのコツを意識しましょう。
振り返りにKPT法を活用しよう
KPT法は、汎用性の高い振り返りのフレームワークです。一方で、「Keepを軽視しやすい」や「意見が偏りやすい」といったデメリットもあるため、バランスの取れた議論が大切です。正しい手順とコツを押さえて、プロジェクトの成果を高めましょう。
