越境学習とは?イノベーションを生む人材育成を徹底解説 

企業が持続的に成長していくためには、新しい価値を生み出す「イノベーション力」が重要です。しかし、日々の業務や既存の枠組みの中だけで考えていると、どうしても発想が固定化され、新たなアイデアが生まれにくくなります。

このような課題を解決する手法として注目されているのが越境学習です。普段とは異なる環境に身を置くことで、これまでになかった視点や発想を得られ、イノベーション力を高められます。本記事では、越境学習の意味やメリット、具体的な手法についてわかりやすく解説します。

越境学習とは

越境学習とは、普段働いている職場や会社の枠をいったん離れ、まったく異なる環境に身を置くことで、新しい知識やノウハウを得る学習手法です。日常業務では得られない刺激や気づきを得ることで、これまでにない発想や柔軟な思考が生まれやすくなります。こうした効果から、越境学習はイノベーションを生み出す人材育成として注目されています。

越境学習がイノベーションを生む理由

越境学習がイノベーションの創出に役立つのは、参加した従業員が新しい視点とネットワークを獲得し、組織に新たな風をもたらすためです。具体的な従業員への効果は以下のとおりです。

・これまでにない視点を得られる

異業種の考え方や文化に触れることで、従来の枠に収まらない多角的な視点を得られます。これにより、当たり前を疑うきっかけとなり、新たな発想を創出できる可能性が高まります。

・社外ネットワークを構築できる

越境学習の魅力は、他企業の担当者や異業種の専門家など、社内では出会えない多様な人とのネットワークを構築できる点です。このネットワークは、情報収集やコラボレーションの機会につながり、新たな発想を生み出す基盤となります。

これらの効果と従業員の既存の経験やスキルを組み合わせることで、イノベーション力が一層高まります。

越境学習がもたらすメリット

越境学習は、参加した従業員に新たな視点や成長をもたらす取り組みです。その変化は従業員個人に留まらず、企業にも新たな価値を生み出します。ここでは、越境学習を導入することで企業が得られる主なメリットを紹介します。

メリット① イノベーション力の向上

企業にとって越境学習の大きなメリットは、イノベーション力の向上です。従業員が新たな知識やノウハウを学ぶことで、多角的な視点を獲得し、新しい発想が生まれやすくなるためです。これまでの枠組みにとらわれない発想が増えることで、組織のイノベーション力が高まり、新規事業の創出や既存事業の改善に役立ちます。

メリット② 次世代リーダーの育成

越境学習は、これから組織を牽引するリーダーの育成にも有効です。他企業のプロジェクトへの参加や社外ネットワークの構築など、社内だけでは得られない多様な経験を積めるためです。こうした機会を通じてリーダー候補者の視野が広がり、さらなる成長が期待できます。

メリット③ 新たな知見やノウハウの獲得

越境学習は、社外の知見やノウハウを獲得できるのがメリットです。社外の発想や手法を知ることで、業務改善やアイデア創出につながるためです。例えば、他社の成功事例や異業種の業務プロセスを取り入れることで、自社の課題解決に新たな選択肢が生まれます。このようなことから、越境学習は競争力を高めるのに有効な手段と言えます。

メリット④ エンゲージメント向上による離職防止

越境学習は、従業員のエンゲージメントを高め、離職防止に役立ちます。新しい経験に挑戦できる環境は、「成長の機会が与えられている」という実感を生み、仕事への意欲や組織への信頼感を強めるためです。さらに、社外でのプロジェクト参加や異業種との交流を通じて、従業員が自らの成長を感じられる点もポイントです。こうした前向きな実感がモチベーションの向上につながり、離職を防ぐ効果が期待できます。

代表的な越境学習の方法と特徴

越境学習と一口に言っても、その手段は様々です。ここでは、企業でよく活用されている代表的な越境学習の方法と、その特徴を紹介します。これらの中から、目的に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。

方法① ワークショップ

ワークショップは、特定のテーマに沿って参加者同士が議論や作業を行う実践型の学習方法です。社外の専門家や他企業の従業員が参加する、あるいは自社の従業員が社外のワークショップに参加することで、越境学習としての効果を得ることができます。普段接することのない人々との協働は、新たな視点を得るきっかけとなります。

ワークショップの特徴は、短期間で実施できる点です。数時間から数日程度で完結するため、既存の業務への影響が比較的少ないことから、多くの企業で活用されています。越境学習の第一歩として取り入れやすく、日常業務では得られない刺激や多様なアイデアに触れられる点が魅力です。

方法② 外部企業への出向

外部企業への出向は、一定期間、他企業の業務に直接携わる実践的な越境学習です。異なる企業文化やビジネスモデルのもとで働くことで、これまでとは異なる視点や業務プロセスに触れられます。自社の枠を離れて仕事をする経験は、視野を広げ、物事を多角的に捉える力を育てます。

特徴は、実務を通じて深い学びを得られ、同時に社外ネットワークを築ける点です。短期間の研修では得にくい「現場のリアル」や「文化」を肌で感じられるため、次世代リーダーの育成にも適しています。また、出向先で築いたネットワークは、協業する際に役立つのもポイントです。

方法③ 地域社会への貢献活動

地域社会への貢献活動は、NPO・自治体・地域団体などが取り組むプロジェクトに参加し、社会課題の解決に関わる方法です。多様な背景を持つ人々と協働する経験は視野を広げるだけでなく、社会課題に向き合う中で課題発見力の向上も期待できます。

特徴は、社会的な視点を得られる点です。地域や社会の課題は、新規事業のヒントになることも多い重要なテーマです。これらのテーマに取り組む機関や団体とのネットワークを構築できることは、企業にとっても価値があります。

方法④ 海外視察・海外研修

海外視察・海外研修は、日本と異なる文化や市場を直接体験する越境学習です。海外企業の実情、現地の働き方、最新トレンドを知ることで、国内では得られない発想や価値観を得られます。

特徴は、現地との違いを肌で感じられる点です。グローバルな視点を身につけるきっかけとなり、従業員の視野を大きく広げる効果があります。

越境学習を成功させるポイント

越境学習の効果を高めるには、ポイントを押さえた上で取り組むことが重要です。成功させる3つのポイントは以下のとおりです。

・目的を明確にする

越境学習を実施する際は、育成したい能力や解決したい課題など、目的を具体的に設定することが重要です。目的が明確であるほど、適切な学習方法を選択できるため、成果につながりやすくなります。

・フィードバックを行う

適宜、フィードバックを行うことがポイントです。意図的に振り返る機会を作ることで、参加者の学びが定着するためです。気づきが深まり、実務への応用もしやすくなります。

・学習内容を社内で共有する

越境学習で得た知見を社内全体で共有することで、組織全体の視野が広がり、学びの効果が波及します。

これらのポイントを押さえることで、越境学習による個人の成長を組織全体の成長へとつなげることができます。

まずはワークショップから始めよう

越境学習はイノベーション力を高めるのに有効な手法です。導入する際は、短期間で実施でき、比較的負担の少ないワークショップから始めることをおすすめします。異業種や社外の参加者と協働することで日常業務では得られない多様な視点や刺激を得られ、越境学習のメリットを手軽に体感できます。新規事業のアイデア出しに悩んでいるご担当者様は、まずはワークショップから取り組んでみてはいかがでしょうか。

ワークショップのコツについては、「コンセンサスを伴う新規事業推進のためのワークショップデザインとは?」の記事をご覧ください。