エドテック(EdTech)とは?導入するメリットや具体例、問題点を紹介

近年、エドテックは教育分野で注目されているキーワードです。ベンチャーやスタートアップ企業など、エドテックで新たなビジネスモデルを模索する企業も増えています。

しかし、「エドテックの意味がわからない」や「どのようなビジネスモデルがあるのか知りたい」という方もいるでしょう。

そこで本記事では新規事業のアイデアを探している方に向けて、エドテックの意味や注目される背景、具体例をわかりやすく紹介します。

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エドテック(EdTech)とは?

エドテック(EdTech)とは、「Education(教育)」と「Technology(テクノロジー)」を組み合わせた造語です。簡単にいえば、ITやICTなどの技術を活用した教育サービスやツールを指します。

近年では、インターネット技術とタブレットを組み合わせることで、家にいながらでも授業を受講できるようになりました。このようなオンライン学習もエドテックの1つです。

エドテックとeラーニングの違い

エドテックと似た言葉にeラーニングがあります。

eラーニングとは、スマホやタブレットなどのICTデバイスを使い、オンライン上で学習できる勉強方法です。

エドテックとeラーニングの違いは、エドテックのほうがより広い概念を持っていることです。つまり、eラーニングはエドテックの1つの手法といえます。

エドテックが注目される背景

近年、エドテックは教育分野において注目されているキーワードです。小中学校における電子黒板やタブレットの導入などがわかりやすい例でしょう。このように、エドテックが注目される背景は以下の要素が挙げられます。

  • コロナ禍における需要の拡大
  • GIGAスクール構想・未来の教室
  • リカレント教育やリスキリングの普及

注目される背景について詳しく解説します。

コロナ禍における需要の拡大

コロナ禍では、感染拡大を防ぐために、学校が休校になることも珍しくありませんでした。そのようななか、オンライン授業により学習が進められ、エドテックの需要が拡大したのです。

このような動きは学校だけではなく、企業も同様にオンライン研修などが積極的に行われるようになりました。コロナ禍がもたらしたライフスタイルの変化は、エドテックが注目される背景の1つといえます。

また株式会社野村総合研究所の「ITナビゲーター2022年版」によると、国内のエドテック市場は2023年に3,056億円に達し、2027年には3,625億円に拡大する見込みです。

コロナ禍以降もエドテックの市場規模が拡大すると予想されているのも、注目されるポイントです。

GIGAスクール構想・未来の教室

エドテックが注目を集める背景は、「GIGAスクール構想」や「未来の教室」が挙げられます。

・GIGAスクール構想

GIGAスクール構想とは、子ども一人ひとりに個別最適化した教育を実現するために、子ども1人に1台の端末を整備する文部科学省の取り組みのことです。2021年度には、小中学校での端末の配備がほぼ完了しました。

またGIGAスクール構想はハード・ソフト・人材を整備することで、災害や感染症などの緊急時においても学習できる環境の補償を目的としています。

・未来の教室

未来の教室は、文部科学省の実証事業です。1人1台の端末とエドテックを活用した新しい学び方を実証事業で模索しています。

このように個別に最適化された学習機会の提供や、次世代の人材の育成に向けて、エドテックを積極的に取り入れる動きが活発になっています。

リカレント教育やリスキリングの普及

人生100年時代といわれるなか、仕事を長く続けたり雇用の変化に対応したりするには、学び直しが重要です。

具体的には、リカレント教育やリスキリングです。リカレント教育は学校教育から離れ社会人になった後に、教育と仕事を繰り返すことを指します。一方、リスキリングは仕事に関わるスキルを学び、身につけることです。

どちらも社会人の学び直しを意味しています。しかし、社会人は学校に通う時間を確保するのが難しい場合もあります。そこで、個々の空き時間を活用して学習できるエドテックに注目が集まっているのです。

エドテックのビジネスモデルの具体例

エドテックの主なビジネスモデルは以下の3つです。

・オンライン学習

・アダプティブラーニング

・疑似体験学習

具体例を挙げながら各内容について紹介します。

オンライン学習

出典:JMOOC

オンライン学習とは、パソコンやスマホ、タブレットなどの端末によりインターネットを通じて行う学習方法のことです。eラーニングとも呼ばれます。

オンライン学習は、どこからでも学習できるのが強みです。移動の時間を削減できることから、学習のための負担を軽減できることもメリットです。現代ではインターネットやデバイスの進化により、一方的なオンライン学習から、双方向のオンライン学習が可能になっています。

オンライン学習の代表例はMOOC(ムーク)です。

MOOCとは大規模公開オンライン講座の意味で、誰でも無料で学べるオンライン学習サービスです。「JMOOC」では、累計610講座が開講され、162万人が学習しています。

社会人の学び直しができるサービスとして注目を集めています。

アダプティブラーニング

出典:Qubena

アダプティブラーニングとは、一人ひとりの理解度に合わせて、最適化された学習を提供することです。日本語で適応学習と呼ばれています。エドテックにより個人の学習状況の情報を収集し、データを分析することで効率的な学習が実現できます。

例えば、正答率から苦手な分野を分析し、重点的に学習することで理解度を深めるといった具合です。文部科学省の「未来の教室」においても、アダプティブラーニングを推奨しています。

アダプティブラーニングの代表例は、AIを搭載したエドテックの「Qubena(キュビナ)」です。AIによる分析で一人ひとりに最適化した学習を提供します。

疑似体験学習

出典:東芝システムテクノロジー株式会社「EQSURV Training

新しいテクノロジーはスマホやタブレットだけではありません。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)のデバイスを活用したエドテックもあります。

このようなデバイスを使った学習は疑似体験学習と呼ばれ、仮想空間のなかで現実のように体験できるのが特徴です。例えば、実際は危険な工事現場や災害現場も安全に疑似体験できたり、普段は行くことが困難な宇宙や海外にも簡単に行けたりします。

疑似体験学習は企業の人材育成にもよく活用されています。

代表例は、東芝システムテクノロジー株式会社の「EQSURV Training」です。EQSURV Trainingは、企業の人材育成において事故対応や実技の訓練、危険体験などに使われています。

エドテックの問題点

個別最適化され、効率的な学習がエドテックの強みです。一方で、「人間関係を築きにくい」や「教員にITリテラシーが必要」といった問題点もあります。

コロナ禍においては、多くの大学でオンライン授業が行われました。その際に、学生同士の交流が減ることで、友人を作れずに孤独を感じる学生が増えたという報告があるほどです。

エドテックのメリットを生かすには、このような問題点を軽減する対策が必要となります。

参照:早稲田ウィークリー「コロナで変わった? キャンパスとオンラインで揺れる人間関係

新規事業にエドテックを検討してみよう

エドテックは教育分野だけではなく、企業の人材育成にも活用され、今後も拡大が期待されている分野です。新規事業のアイデアに悩んでいる方は、エドテックへの参入も検討してみてはいかがでしょうか。