訪日観光客は3,000万人を突破するも、食事面ではまだ日本は観光後進国?
昨年2018年の訪日観光客数が3,100万人を突破し、ものすごいスピードで観光立国の道を突き進む日本。東京オリンピック(2020年)でひと段落するかと思いきや大阪万博(2025年)も決定、その勢いはおそらく向こう5〜10年は伸びつづけるといわれています。
ほかでは見られない独創的な豊かさで世界中の人を魅了しつづける日本文化ですが、特に外国人観光客、実は困っていることがあるのはご存知でしょうか。
それはすばり食生活。 日本食=健康的・ヘルシーで、いったい何が問題なの?と思われるかもしれません。しかしながら多様化のすすむ世界のトレンドは食生活にも及んでおり、人々の中には厳格なポリシーを持って食生活を営んでいる人々が想像以上にいることをご存知でしょうか?
そんな彼らは日本に訪れたとき、いったいどの食品を口にすべきか迷ってしまうことが間々悩みの種だといわれています。そこで今回は想像以上に広まる食習慣と、その簡単な対応策について見ていきましょう。
ヴィーガン?ペスカトリアン?ポロタリアン?ベジタリアンといっても程度はさまざま
「ベジタリアン」という言葉は日本語でもほとんどの方が耳にしたことがあるでしょう。菜食主義者と訳されますが、具体的な定義をご存知でしょうか。肉魚を食べずに野菜ばかり食べている…?と案外曖昧なイメージしかもっていない方も多いと思います。
実際に、ベジタリアン自体の定義は曖昧なのが実情です。その代わりにこの曖昧な「ベジタリアン」という言葉のレベルを定義する7つのレベルが存在するのです。
ペスカトリアン、ポロタリアン、ラクトオボベジタリアン…、といった具合にそれぞれ口にしないものに応じて7つのレベルごとに定義が別れています。
なかでも特にヴィーガンへの関心は2010年代に入りめざましく、ここ直近5年のGoogle trendを見ても一目瞭然。ヨーロッパやアメリカなどを中心にヴィーガンは多くの関心を集めていることが伺えるでしょう。
日本国内でもベジタリアンは広がっていた?
その影響は、まだまだ少ないとはいえ日本国内にも萌芽をみつけることができます。
ヴィーガンを通じて摂食障害の克服に。モデル・リナさん
とくに注目されているヴィーガン実践者といえば、俳優・城田優さんの実妹でもあるモデル・リナさん。ヴィーガンの食生活を通じ、多くの女性に心身ともに自分自身をいたわって生きる大切さについて日々発信されています。実際に彼女自身もモデルという職業柄、かつて過度のプレッシャーから摂食障害になった経験を持たれていました。
ヴィーガンの食事が摂食障害克服の大きなきっかけになったことから、自身の体験を踏まえて、彼女のインスタグラムには日々ヴィーガンフードやメンタルケアについての発信が目立ちます。コメント欄にはヴィーガン実践者はもちろんそうでない人も含めた同世代の多くの女性たちから共感が寄せられているのが見受けられますね。
日本の食事はもともとヴィーガンだった?!
ベジタリアンを実践する人は日本人口約4.5%いるとされています(2017年12月現在)。しかしながら多くの人の実感として、アレルギーを除き、口にするものに厳密なポリシーをもつ人々はあまり多くないように感じるところではないでしょうか?
それは、もしかしたら日本食そのものが健康的な食事であるという事実も、感じにくい一因になっているかもしれません。実際に精進料理は、定義上ヴィーガン料理とすることができるといわれています。
しかしながら、訪日観光客も増加し、現代人の食生活がすっかり西洋化した日本の食シーン。自分たちの体調を管理していく上でも、すでに何かしらの目に見える対応が迫られるフェーズにきているのではないでしょうか。
今回は今すぐにどの企業でも実践できる方法について見ていきましょう。
もっとも手軽で効果的な方法は「ピクトグラム」で表示すること
ピクトグラムとは?
ピクトグラム(英語: pictogram)あるいはピクトグラフ(英語: pictograph)とは、一般に「絵文字」「絵単語」などと呼ばれ、何らかの情報や注意を示すために表示される視覚記号(サイン)の一つである。地と図に明度差のある2色を用いて、表したい概念を単純な図として表現する技法が用いられる。
(Wikipediaより)
言葉こそ耳慣れないかもしれないものの「路線・駅名、トイレ、エレベーターなど日本でもあたりまえに見られる表示マーク」といえば思い当たる方がほとんどではないでしょうか?
誰がみても「あれは◯◯」と認識でき、しかもビジュアル(や英数字)のみで情報を伝わるため、多言語で表示させる手間が省けるという美点があります。
食事に関しての利用方法としては、主要原材料をピクトグラムで表示させるケースが一般的です。小麦や乳製品の有無を把握できるため、アレルギーの方などにとっても非常に助かるようです。
ベジタリアンマークのピクトグラムはヨーロッパなどでは当たり前に
ピクトグラムのなかでも、公に利用されている以下は非常に一般的なものといえるでしょう。ヨーロッパなどを訪れた際に、レストランのメニュー表や商品の成分表示の近くに「Vマーク」を見かけたことはあるのではないでしょうか?
これがあれば、ベジタリアンもそうでない方も一目で「これはベジタリアン向けの料理(食材)だ」と簡単に認識できますよね。
左:EUROPEAN VEGETARIAN UNIONが定めているマーク
右:インドや一部南アフリカで利用されているマーク
日本でも、特定非営利活動法人ベジプロジェクトジャパンによる認証マークがあります。ヴィーガン・ベジタリアン両方あるマークのようですが、まだまだ街中で当たり前に目にすることは少ないですね。今後に期待です。
もちろんピクトグラムではなくても、以下のようにイニシャル表示するケースも一般的です。いずれにせよパッと見で誰もがわかるというのが大切なポイントといえるでしょう。
V = Vegetaian / Vegan
VG = Vegetarian
VE = Vegan
選択は顧客にゆだねる。門戸を広くもつことこそが多様化するニーズへの姿勢
今回は世界でニーズの高まりをみせるベジタリアンとその対応策についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか。
言わなくてもわかるよね?と思いがちな些細なことほど、異文化からきた人々にとって地味なネックになりかねません。
実際に今回のピクトグラムは、訪日観光人気エリアでは徐々に行われている対応です。しかしながら昨今「こんな土地にも?!」と驚くべき地にまで現れるようになった訪日観光客。また、そのいつ来るかわからないかもしれないニーズへの対応が、意外と身近に潜むベジタリアンへのケアになっているかもしれません。
国際的なイベントが目白押しの日本ではハード面の整理が日進月歩で進められています。食というソフト面も、まずはピクトグラム表示での対応をはじめてみてはいかがでしょうか?
参考リンク
Japan enjoys record tourist spending as visitor arrivals surpass 31 million | #AsiaNewsNetwork
Levels of Vegetarianism Quick Guide
#VEGANUARY: UK OVERTAKES GERMANY AS WORLD’S LEADER FOR VEGAN FOOD LAUNCHES
日本のベジタリアン・ビーガン・ゆるベジ人口調査 by Vegewel
Shojin Ryori: Japan’s Sophisticated Buddhist Cuisine
Food Safety and Standards Act – Fssai
Standards, Packaging Labelling requirements for Beverages – Fssai