近年、「〇〇+Tech」と聞く機会が増えていると感じませんか。
それらは総称してX-Tech(クロステック)と呼びます。「FinTech(フィンテック)」や「MedTech(メドテック)」など、産業により呼び方は異なるものの、デジタルテクノロジーを活用しているのが共通点です。
本記事では新規事業のアイデアで悩んでいる方に向けて、X-Techの種類や事例を紹介します。
Contents
X-Tech(クロステック)とは?
X-Tech(クロステック)とは、既存のビジネスにデジタルテクノロジーを組み合わせた製品やサービスのことです。近年、さまざまな産業でX-Techが注目されています。
また、X-Techで利用されることの多いデジタルテクノロジーは以下のとおりです。
- VR(仮想現実) / AR(拡張現実)
- AI(人工知能)
- IoT(モノのインターネット)
- クラウド
- ビッグデータ
- ブロックチェーン
X-Techで成功するには、このようなデジタルテクノロジーと既存のビジネスをどのように組み合わせるかがポイントです。
X-Tech(クロステック)の種類と事例
X-Techの主な種類と産業は以下のとおりです。
種類 | 産業 |
FinTech(フィンテック) | 金融 |
EdTech(エドテック) | 教育 |
SalesTech(セールステック) | 営業 |
HRTech(エイチアールテック) | 人事 |
MedTech(メドテック) | 医療 |
AgriTech(アグリテック) | 農業 |
AutoTech(オートテック) | 自動車 |
X-Techは産業によって種類が異なるため、上記以外にも多数の種類があります。
この章では新規事業のアイデアの参考となるように、上記7種類の事例を紹介します。
FinTech事例:キャッシュレス決済(PayPay)
出典:PayPay
FinTech(フィンテック)とは、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた言葉です。具体的にはキャッシュレス決済や資産管理、ブロックチェーンの活用など、金融領域におけるX-Techを指します。
とくに「〇〇ペイ」などのようなキャッシュレス決済は、政府が推進している背景もあり、現代の生活に欠かせないサービスです。「〇〇ペイ」の代表格である「PayPay」では、2023年10月時点で登録ユーザー数が6,000万人を突破し、日本の人口の約2人に1人が利用しているほどです。
ほかにも仮想通貨の発行や活用するサービスもFinTechの代表例といえます。
参考:PayPay「PayPayが実施した主な取り組みと、それに伴う主要指標の推移について(2023年度上期)」
EdTech事例:GIGAスクール構想 / 未来の教室
出典:経済産業省「未来の教室」
EdTech(エドテック)とは、Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた言葉です。代表的な事例には、文部科学省の「GIGAスクール構想」があります。
「GIGAスクール構想」は、教育現場におけるICT環境の実現に向けて、2019年12月に文部科学省が実施した取り組みです。具体的には、1人1台のタブレット端末と高速大容量の通信ネットワークが整備されました。
これにより、個別最適化された教育が実現できるとしています。
さらに政府は、EdTechの学び方を推進するために「未来の教室」プロジェクトを実施中です。「未来の教室」では多くの民間企業が実証事業を行っており、民間企業のビジネスチャンスにもなっています。
SalesTech事例:Salesforce
出典:Salesforce
SalesTech(セールステック)とは、Sales(営業)とTechnology(技術)を組み合わせた言葉です。カスタマーサポートツールや顧客関係管理ツール、営業支援ツールなどが該当します。
代表的なSalesTechは顧客関係管理ツール・営業支援ツールのSalesforceです。
Salesforceで主にできることは以下のとおりです。
- 営業プロセスの自動化
- チャットボットの導入
- 顧客データの分析
- 営業活動情報の記録
- 売上予測
このような機能を活用することで、営業業務の効率化や顧客満足度の向上が期待できます。すでに15万社以上が利用しており、SalesforceはX-Techで大きな成功を収めた事例といえます。
HRTech事例:カオナビ
出典:カオナビ
HRTech(エイチアールテック)とは、Human Resources(人事)とTechnology(技術)を組み合わせた言葉です。人材育成や人事評価などの領域におけるX-Techを指します。
代表的なHRTechの事例はカオナビです。
カオナビとは、人材育成・人事評価・人材配置などを支援するクラウド型人材管理ツールです。具体的には以下のようなシーンで活躍します。
- 人材情報の一元化
- 人事・労務業務の効率化
- 人事評価制度の運用の効率化
- 人材配置のシミュレーション
- モチベーション分析 / 離職分析
利便性の高さから3,300社以上で利用されており、人事管理システムとして4年連続シェアNo.1を誇っています。
MedTech事例:日本初のAI医療機器「nodoca」
出典:アイリス株式会社
MedTech(メドテック)は、Medical(医療)とTechnology(技術)を組み合わせた用語です。医療分野におけるX-Techを指します。
MedTechの事例として、アイリス株式会社のAI医療機器の「nodoca」を紹介します。
「nodoca」は、50万枚以上の咽頭の画像データベースを基に開発された日本初のAI医療機器です。具体的には、インフルエンザ特有の症状の有無を専用カメラで撮影した咽頭の画像からAIが検知することで、インフルエンザの判定ができる医療機器です。
患者の負担を減らしつつ、すぐに判定結果が得られるとして、2023年の「Medtec Japan」で「Medtec大賞」を受賞しています。
参考:Medtec Japan「第11回 「Medtec イノベーション大賞」 発表 アイリス株式会社による日本初のAI 医療機器「nodoca」が大賞受賞」
AgriTech事例:Honda ロボット草刈り機
AgriTech(アグリテック)とは、Agriculture(農業)とTechnology(技術)を組み合わせた用語です。農業領域におけるX-Techを指します。
農業では高齢化による担い手不足が深刻で、人手不足から雑草の処理に人手を割けないという問題があります。
そこでHondaはロボット草刈り機を開発しました。専用のアプリを使うことで遠隔地から操作できるため、農作業をしながら別の場所の草刈りができるのが特徴です。農作業の省人化・効率化に役立っています。
AutoTech事例:自動車に拡張現実をプラスするCY Vision
出典:CY Vision
AutoTech(オートテック)とは、Automotive(自動車)とTechnology(技術)を組み合わせた用語です。自動車領域におけるX-Techを指します。多くの人は、電気自動車や自動運転車などをイメージするでしょう。
そこで、今回はCY Visionの事例を紹介します。
CY Visionは、自動運転車のフロントガラスに道路状況や街のガイドなど、さまざまな情報を映し出す技術を開発しています。簡単にいえば、自動車のフロントガラスを活用したAR(拡張現実)の実現です。
注意や警告が必要な場面では運転者に操作を促したり、通過している街の歴史やショッピング情報を表示したりできると期待されています。
新規事業のアイデアにお悩みならX-Techを検討しよう
今回は7つの産業について事例を紹介しました。また、今回紹介できなかった多くの産業においても、X-Techの新たなサービスは注目を集めています。新規事業のアイデアに悩んでいる方は、この機会にデジタルテクノロジーと既存事業を組み合わせてみてはいかがでしょうか。