拡散的思考と収束的思考の違いと鍛え方を解説

新規事業のアイデアを出そうとしても、思うように発想が広がらなかったり、逆にアイデアが多すぎて絞り込めなかったりして悩んでいませんか?

このようなありがちな落とし穴を回避する鍵は、拡散的思考と収束的思考の使い分けにあります。本記事では、拡散的思考と収束的思考の違い、それぞれの鍛え方をわかりやすく解説します。

拡散的思考と収束的思考とは

拡散的思考と収束的思考は、アメリカの心理学者ジョイ・ギルフォード氏が提唱した概念です。この2つの思考法は対になる存在で、それぞれ次のような特徴があります。

  • 拡散的思考

既存の枠にとらわれず、自由な発想で多様なアイデアを生み出す思考法です。アイデアの量産や革新的な発想を生み出すのに向いています。

  • 収束的思考

既出の情報やアイデアを整理・評価し、実行可能な一つの解決策を導き出す思考法です。複数のアイデアから効果が期待できるものを選定するのに向いています。

拡散的思考と収束的思考の違いと役割

革新的でかつ実現可能なアイデアを生み出すためには、拡散的思考と収束的思考の両方が不可欠です。ただし、適している思考法は場面によって異なります。アイデアの精度を高めるには、両者の違いを把握しておくことが重要です。

項目拡散的思考収束的思考
目的アイデアを広げ、多様な発想を生み出すアイデアを評価・絞り込み、最適解を選定する
重視する視点・革新性
・多様性 ・自由な発想
・実現可能性
・論理性
・成果重視
向いている場面・アイデア出し・アイデアの評価
・選定
相性の良いフレームワークブレインストーミング
・マインドマップ
SWOT分析
・意思決定マトリクス

このような違いから、両者が果たす役割にも明確な差があります。

  • 拡散的思考:多様な発想から革新的なアイデアを生み出し、事業の可能性を広げる
  • 収束的思考:複数のアイデアを論理的に評価し、実現可能性の高いものに絞る

一見、目的は異なるように見えますが、最終的にはどちらも「事業を成功させるアイデアを生み出す」ことにあります。拡散的思考で可能性を広げ、次に収束的思考で成功確率の高いアイデアを選定。このプロセスこそが、成果につながるアイデアを生み出します。

拡散的思考と収束的思考の効果的な組み合わせ方

2つの有効な使い方の基本は、まず拡散的思考で幅広くアイデアを出し、その後に収束的思考で絞り込む方法です。さらに繰り返すことで、より実現性の高いアイデアが期待できます。ここでは、問題解決の場面で効果的なアイデアを生み出すための2つの組み合わせ方を解説します。

1. 拡散的思考で問題の原因を洗い出す

問題解決の第一歩は、原因を特定することです。拡散的思考を活用して、問題や課題の原因を幅広く洗い出すことが重要です。具体的には、次のような方法を用いてリストアップします。

  • 現状で困っていることを聞き出す
  • 原因と思われる要素をできるだけ多く列挙する
  • 小さな気づきも見逃さず、リスト化する

この段階では、アイデアの取捨選択は行わず、多様な視点から可能性のある原因を挙げることに集中するのがポイントです。

2. 収束的思考で重要な原因を選定する

次に、洗い出した原因の中から、収束的思考を用いて重要度の高いものや解決すべき優先課題を選定します。このステップを踏むことで、軽微な問題や課題にリソースを浪費するのを防げます。

3. 拡散的思考で解決策の案を量産する

重要な原因が特定できたら、再び拡散的思考を使って解決策の案を量産します。このステップでは、量を意識しながら、自由にアイデアを出し合うことがポイントです。解決策の案が多いほど、実効性のある案にたどり着く可能性が高まります。

4. 収束的思考で最適な解決策を決定する

最後に、収束的思考で解決策を評価・選定し、実行可能で効果の高い案を決定します。

このように拡散的思考と収束的思考を交互に行うことで、高い効果が期待できる解決策を導き出せるのです。

拡散的思考の鍛え方

「センスや才能がないと、面白いアイデアは浮かばない」と思っていませんか?拡散的思考は、日々の訓練で伸ばせます。具体的なトレーニング法は次の3つです。

  • 連想ゲーム:思考の「瞬発力」を鍛える

一つのテーマから連想できるキーワードを数珠繋ぎのように書き出すトレーニング方法です。

【例】

テーマ:「次に行きたい国」

連想:「アメリカ」→「ニューヨーク」→「自由の女神」→「フランス」

しりとりのように連想を続けることで、思考の瞬発力を鍛えます。

  • 要素の分解:多角的な「視点」を手に入れる

一つのテーマを複数の要素に分解し、それぞれの側面から深掘りするトレーニングです。

【例】

テーマ:「カフェ」

空間: 照明の明るさ、椅子の座り心地

味: 豆の産地、コーヒーの淹れ方

体験: 滞在時間、BGMのジャンル

このように、一つのテーマを要素ごとに切り分けて考察するクセをつけることで、多角的な視点から物事を捉える力が養われます。

  • アイデアノートの習慣化:訓練が「資産」になる

アイデアノートとは、日常のふとした瞬間に浮かんだ違和感やひらめきを記録するノートのことです。ノートやスマホのメモアプリを活用して、毎日少しずつでも書き留める習慣を作ることがポイントです。日常的にアイデアを意識してメモすることで、拡散的思考の力が鍛えられます。また、蓄積されたアイデアは後から見返すことで、新しい発想や組み合わせを生む「アイデアの宝庫」になります。

収束的思考のフレームワーク

収束的思考は論理的にアイデアを判断する必要があります。そのため、この思考法を鍛えるには、分析や評価のフレームワークの理解を深めることが有効です。例えば、次の2つが挙げられます。

  • SWOT分析

SWOT分析は次の4つの視点でアイデアを整理するフレームワークです。

  • S(Strength:強み)
  • W(Weakness:弱み)
  • O(Opportunity:機会)
  • T(Threat:脅威)

これらの視点から、アイデアの実現可能性やリスクを客観的に評価できます。

  • 意思決定マトリクス

意思決定マトリクスは、行に案、列に評価基準を設定して、各項目を定量的に評価するフレームワークです。例えば、次のようにアイデアの優先度を評価します。

評価基準効果実現可能性コスト総合評価
重要度×2×1×1.5
案A87530.5
案B59831
案C79835

※総合評価は各項目のスコアに重要度の係数を掛けて算出

このように複数のアイデアを定量化して分析します。評価の高い案を一目で判断できるのがメリットです。アイデアの優先順位が明確になることから、収束的思考の判断基準としても役立ちます。

拡散的思考と収束的思考を取り入れよう

拡散的思考と収束的思考は組み合わせて使うことで、より精度の高いアイデア出しを実現できます。事業の成功確率を高めるには、日常的にこの2つの思考法を意識することが大切です。新規事業のアイデア出しに悩んでいるご担当者様は、この機会に実践してみてはいかがでしょうか。

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