【人事/採用】コロナ禍での人財確保とアプローチ

 現在、新型コロナウイルスによる影響で、就職活動の動向が今後どうなっていくか、先行き不透明となっています。人事・採用担当の方々もこうした問題に頭を抱えることも多いのではないでしょうか。今回のコラムはそんな担当者の方々に送る、With、Afterコロナの時代に採用企画をどのように立てて行けばいいのかのヒントをお伝えしていきます。

0 これまでのやり方が通用しなくなる…どうしたらいいの?

まず大前提として大事なポイントが、これからの就職活動や転職活動は、コロナ禍を経験した学生や社会人がターゲットになるということです。

 Beforeコロナの就職活動と言えば、大勢で行われる説明会やOB,OG訪問、イベントで就活生と社員が対面で直接話し、紙媒体でパンフレットなどの資料を渡すといったやり方がごく一般的でした。

 しかし、そうしたオフライン中心の就職活動が、このコロナの影響でガラリと変わり、今ではほとんどがオンライン中心で行われています。

 突然の体制変化により、まだ慣れないオンラインに不安を隠せないという採用側の本音もありますが、ターゲットである就活生の若者たちは、デジタル媒体の使いこなしが早く、コロナ禍の就活でどのように動いていくべきか理解し始め、オンラインにも慣れてきています。

 そのためコロナ禍で就職・採用活動の体制が変化している今こそ、求めている人財を確する仕方やアプローチについて見直していく必要があります。

 「今年から試行錯誤でオンライン上での採用を進めてきたけど、今後どういった体制でいけばいいのかわからない」「アフターコロナに入ったら、採用企画をどのように立てたらよいのか知りたい」といったお悩みを抱えている人事・採用担当の方々に、今回はヒントをお届けしていきます。

ぜひ、以下1~4のポイントを読んでみて、今までのやり方を全て見直し、採用活動の棚卸をしてみてください。

1 どのような人財を採りたいのか明確にする

 まずは、採用したい人財の人物像を明確にすることが重要です。今年は特に急なコロナ対策によって、採用者側は想定外のオンライン説明会や面接に追われてしまったケースが後を絶ちません。また、現在でもWi-Fiや機器の不具合など、オンラインならではの問題の対処を考えなければならず、なかなか「自社が採用したい人財の人物像」について、しっかり考えられていない場合もあるでしょう。

 ここでは、いったんそれらのことを置いておいて、採用目的の初心にかえってみてください。自社をより発展させていくためにはどんな点が抜けているのか、そしてどのような点を新しい人財によってうめていくことで改善できるのかを考えることが大切です。

 もし、それを整理することが難しかった場合は、自社にいる社員を見てみて、どんな特徴を持っている人が自社の発展に貢献しているのか、その特徴とは何なのかをまず見つけてみましょう。そこで、現在発展に貢献している社員と同じ条件を満たしている人財をもっと登用していこうなどと新しい発見ができたら、求める人物像をより明確にできます。
 求める人物像を定めたら次に、就活生との面談時に、彼らがもっている特徴や、求める人物像と合っているのかどうかを見極める必要があります。新卒採用であれば、どのような特性、経験、専門性を持っているのか、そして転職者であれば、どのような業界でどんな部署経験を持っているかに注目して、求める人物像と照らし合わせてみましょう。

 こうした「焦点合わせ」はできているようで、実際きちんとできていないケースは結構多いのです。

 焦点がずれてしまう1つの原因としては、自社に合わせた人物像を見つけなければいけないのに、周りの会社が求めているような典型的な人物像に合わせてしまっていることです。就活応援サイトなどでは、よく「リーダーシップ」「協調性」「一生懸命取り組む」「語学」といった面で優れている人財が多くの会社で通用し、採用されやすいと表現されていることがあります。1社1社の特徴が異なる状況の下、それぞれの企業が独自で求める人物像を考え抜いた結果、それがかぶっているのなら特に問題はないのですが、「こうした典型的な人物像が多いからこれに合わせて採用していれば間違いない」といったような形で選んでいると自社が合わせるべき焦点と異なり、結局求めている人財が集まらなくなってしまいます。そこにかけるコストも無駄になるので、必ず「自社に合った人財」を求めていくようにしましょう。

2 採りたい人財の価値観を知る

 求めている人物像がはっきりしてきたら、次にその人物像を持っている人財の価値観を理解していきましょう。なぜなら、採りたい人財の価値観が自社の求めている人物像と合致していなければ、内定を出しても承諾してもらえない可能性が出てしまうからです。

 そうならないためにも、まずはその対象となる人物がどのような価値観で企業を選んでいるのかを知ることが鍵です。例えば、社風や、待遇(福利厚生の育児休暇、産休制度など)、有給取得率や離職率などが挙げられます。重視している条件は何なのかを的確に知り、もしそこで自社と相違が生まれていたら調整する必要があります。
 また、そうした人物が就職・転職した先でどのような将来を思い描いているのかについて理解することも重要です。腕を上げて大きな事業を成功させたいと思っていたらスキルアップできるかどうか(新入社員を育てる雰囲気など)という点に焦点を当ててみたり、昇進制度について自社の強みをその人物に伝えてみるなど、こちらからも相手の考えに合わせてアプローチをしていきましょう。

 これはのちに、広告などで伝えるべき情報の整理にも役立ちます。

3 採りたい人財の行動を理解する

 上記の2で、採用したい人財がどのような考えで就職活動をしているのかを理解した後は、彼らがそのうえでどんな行動をとるのかを考えてみましょう。

 コロナによって、就活生は学校に行って就職課に相談したり、資料を見に行ったりOB,OG訪問することができないうえに、多くの就活イベントも開催中止になりました。転職者についても同じ状況です。そうした中、ターゲット層がよく利用しているのはSNSやインターネットです。4月5月は多くの地域で外出自粛期間だったこともあり、就活生、採用担当者共に在宅で活動していました。家にいても、会社の口コミで社風を客観的視点から見られたり、社員の話を読むことができる利便性があります。文字だけでなく動画で情報をキャッチする就活生も多くいました。そうした中でよく利用されているツール、InstagramやFacebook、Youtubeなどです。ターゲット層がよく利用しているツールで採用活動している企業も増えています。

 今はコロナも落ちついてきてはいますが、今後、コロナがまたひどくなって、外出自粛の風潮が漂う可能性もあります。一方でコロナが収束しても、これだけオンライン化が進めば、様々な面でオンラインの利便性に人々は慣れ(コスト面、時間的余裕など)、これからのWith、Afterコロナ時代はオンラインを中心とした形になっていくでしょう。ターゲット層がよく利用しているツールを調べ、自社や採用したい人財(ターゲット層)に合うチャネルを決めて採用方法の幅を広げていきましょう。採用活動においてベストなチャネルとタイミングを知り、活用していくことが大切です。


 また、ターゲット層がどのタイミングでどのような情報ソースを元に情報収集するのかも入念に把握しておく必要があります。

 イベントや情報サイト、InstagramやTwitter、Youtubeなど、どのチャンネルを使って展開するべきかを考え、それに合わせてタイミングも計りターゲットに対して効果的に自社の広告を露出するようにしていきましょう。先ほどのSNSの話をもう少し細かく砕いて紹介します。

 レバレジーズ株式会社が運営する新卒向けの就活エージェント「career ticket(キャリアチケット)」が行った調査では、今年の7月時点で就活生の半数以上がYoutubeで採用動画を視聴していることが明らかになりました。また、そのうち約7割が視聴した後にその会社への志望度が上がったということも判明しています。コロナ禍でスマホやPCの利用時間も昨年に比べて増えていることも影響しており、いつでも気楽で簡単に見られるツールだからこそ、利用率が上がっているのです。

 そして同社のブルークスが調べたデータによるとTwitterは就活時によく使うSNSランキング1位となっています。採用についての情報を出している企業も多く、就活生同士で小さなことでも情報交換をしたりと、多くの情報を手軽に収集できる便利さから「就活アプリ」として多くの就活生に使用されているのです。

 このように就活生を取り巻く状況と彼らの行動を把握し、用途に合わせて様々なツールを使いこなしてターゲットに効果的な広告を出していくことが大事です。

4 得られた情報に合わせた企画を立てる

 「誰に、どのような情報を、どのチャネルを通して、どのタイミングで見せていくか」が上記の1から3で決まります。それぞれ得た情報を元に、採用サイトや就職情報サイト向けにコンテンツを組み立てていきましょう。

 重要なポイントとしては以下の7つです。おさらいしておきましょう。

1.どのような人財を募集しているのか、詳細に分かりやすくまとめる

2.自社紹介(得た情報から、就活生が求めている条件を強調)

3.決めたチャンネルで情報を広める準備(ツールの特性に合わせた形で)

4.決めたタイミングで情報を広める

5.情報を見た就活生がエントリー

6.履歴書や面談を通してその人物が「求める人財の条件、人物像」にフィットしているか、その人物の価値観が自社と合致しているか確認

7.採用審議

 このようなポイントは求める人財を確保するためだけでなく、自社を客観的に御杖治す良い機会にもなるので、ぜひこれらを実践に活かして、今後の採用活動を行ってみてください。実践前と実践後では、何か新しい気づきがあるはずです。今後もWith、Afterコロナ時代に必要なヒントをどんどんお届けするので、次回もまた読んでみてください。