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2018/06/19

ポイントカードは当たり前。イギリスのスーパーマーケットにみるマーケティング戦略

人間が生活を営む上で不可欠なもの=「衣」「食」「住」。殊にもっとも欠かせないものは「食」だろう。今回は「食」の要でもあるスーパーマーケットについて調べてみたいと思う。

イギリスのスーパーマーケット事情について

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スーパーマーケットと聞くと、おそらく多くの方が近所にたくさんの食材を買い出しに行くあのスーパーを思い出すだろう。もちろん間違っていないのだが、それに加えイギリスのスーパーマーケットの多くは、日本でいうところのいわゆるコンビニ的な小店舗の形態としても展開している実情がある。そのため、人々の生活への影響力がもしかしたら日本で生活する以上にあることを念頭において欲しい。

では、まずイギリスのスーパーマーケットについて見てみよう。こちらが主要スーパーマーケットのシェア率を表したグラフだ。シェア率の順にTesco、Sainsbury’s、Asda、Morrissons、Aldi、Co-Op、Waitrose…と並ぶ。(※ 2018年5月20日時点)


イギリス スーパーマーケット引用元:kantarworldpanel

上記だけみてみると1位のTESCOが2位Sainsbury’sを2倍近く引き離し、イギリスのスーパーマーケットを牽引しているように見える。実はシェア率だけで一概に語れないのが厄介な点ではあるのだが、それは少し先に置いておくとして、では次に主要スーパーマーケットのいくつかの特徴について見てみよう。

主要スーパーマーケットのマーケティング戦略

顧客データ分析に長けたTESCO(テスコ)

TESCO(テスコ)

スーパーマーケットシェア率のトップを誇るテスコ。利便性の良い店舗の立地と、徹底したマーケティング力を武器に、世界第3位の規模のスーパーとして12ヶ国に展開する。

特にTESCOでは店舗毎の売り上げ分析が強みとされ、ポイントカードのTESCO Clubcardのアプリには常に店舗アイテムのディスカウント情報が複数掲載されており、その日のお得情報を手に入れることが可能だ。

そのTESCOだが、残念ながら2006年に一度日本上陸を試みたものの現在はすでに撤退。データ分析に長けたTESCOが撤退したことは、日本がいかにデータ一辺倒で攻略し難いマーケットであることを物語っているのかもしれない。

ポイントカードの汎用性はぶっちぎり。Sainsbury’s(センズベリーズ)

Sainsbury’s(センズベリーズ)

1869年の創業以来、現在に至るまで国内に1200店舗を誇る国内2位のスーパーマーケット。Sainsbury’sの強みはポイントカードにあると言えるだろう。

nectarカードと呼ばれ、Sainsbury’sでの買い物のほか、ebayでの買い物や旅行、コーヒーショップでの利用でもポイントが貯めることができるため、何か買い物があると意識的にSainsbury’sを利用しようという意識付けがしやすい。

王室御用達!圧倒的なブランド力をもつWaitroseh

Waitrose

王室御用達として広く知られるWaitrose。実際に過去には結婚後のキャサリン妃が買い物する姿も何度か目撃されたことがあるのは有名な話だろう。※1

比較的スーパーマーケットの中でも価格帯は高めではあるものの、特に2点において手堅い支持を得ている。ひとつは生鮮食品の質の高さ。日本では信じられないかもしれないが、若干傷んだ商品が売られることも珍しくない(!)イギリスのスーパーマーケットにおいて、Waitroseは品質の上で非常に信頼のブランド力を誇る。そしてもう一つは、メンバー特典の手厚さ。しっかりエディトリアルされたフリーマガジンのほか、各種割引に加え、来店時にレジでコーヒーが1杯タダで飲めるカップを手渡してもらえる…など、日常に通いたくなる仕掛けが散りばめられている。※2

プライベートブランドの宝庫、M&S(マーク&スペンサー)

M&S(マーク&スペンサー)

Waitrose同様、比較的中心地に集中し、ロンドン土産を購入する場所として日本からの観光客からの認知も高いM&S。特徴は、サンドイッチからお土産のチョコレートに至るまで、店内のほとんどのものをプライベートブランドで占めていること。独自の展開でブランドを確立させている。

しかしながらつい先日、100店舗を閉鎖することを発表した同社は、今大きな転換期を迎えているようだ。※3

番外編:WHOLE FOODS MARKET(ホールフード)

 

ホールフーズマーケット

昨年アマゾンに買収されたことでも話題のWHOLE FOODはここロンドンでもじわじわと人気になっている。アッパー階層の住むエリアであるハイストリート・ケンジントンに構える大規模な店内にはオーガニックフード中心に幅広く取り揃えられており、ヘルシー志向の人たちからの手堅い人気を誇る。

加えてアマゾン上でのオンライン注文できるようになり、その利便性の高さを受けて、今後ますますニーズが予想される。

ブランディングとマーケットシェアの両立の難しさ

スーパーマーケットにも格付けが存在する?

スーパーマーケット

ここで、イギリスらしい余談をひとつしよう。「ブランド力」についてだ。スーパーマーケットでブランド…?と思われるかもしれないが、さすが階級社会の色が残る国・イギリス。アラン・ベネットという脚本家の手がけたテレビドラマ「Talking Head (1988)」というドラマでは、それぞれのスーパーマーケットについて、面白い表現がなされている。

“In one of Alan Bennett’s Talking Heads dramas, someone exposes themselves in a branch of Sainsbury’s. “Tesco’s you could understand,” says an elderly woman tartly. It’s a remark that neatly sums up both the British obsession with class and our almost tribal attachment to specific supermarket brands. Tesco, the implication goes, is for commoner people who are slightly more likely to drop their trousers in public than Sainsbury’s shoppers. By extension, Waitrose is for those more likely to have second homes in Chiantishire than the first two; Asda for people who aspire to have a second home anywhere but probably never will; Lidl for pewople who have never heard of Chiantishire; Marks and Spencer for those who affect to have never heard of Lidl. That kind of thing. ※4


上記をかいつまんでご説明すると以下のようになる。

  • テスコは、センズベリーよりも少しズボンを落とす可能性の高い庶民のためのもの
  • ウェイトローズは、“Chiantishire(イタリア・トスカーナの別名)” に第二の家を持つ可能性の高い人のためのもの
  • Asdaは、第二の家を持つことを切望しているけれど決して実現できない人のためのもの
  • Lidlは、Chiantishireのことを聞いたことがない人のためのもの
  • M&Sは、Lidlのことを聞いたことがない人のためのもの

とはいえ、この表現は1980年代後半でのこと。現在2010年代後半となり、都市人口の半数を移民が占めるロンドンにおいて、この表現が正しいとは言えなくなってきているのが実情だ。人々の消費行動は「安さ重視」に傾きつつある。実際、Lidlは昨年2017年にスーパーマーケットシェアで一時ウェイトローズを抜いて業界7位にランクインしている。

ブランディング?拡大路線?

イギリスのスーパーマーケット事情はいかがだっただろうか。

確かに日本において、日常生活において食品を購入する際、お店の「階級」を意識する機会は滅多にないだろう。その代わり、全国展開するチェーン店とは違い、その地域に根ざしたご当地スーパーは今なお数多く存在している。

そのように “一部に強い” というスーパーマーケットがある以上、マーケットシェアがあるということが必ずしもブランド価値があることには繋がらない。つまり「マーケットシェアがある ≠ ブランド価値がある」という認識を常に持って置く必要があるだろう。もちろん言わずもがな、逆も然りであるわけだが。

闇雲に規模を広げるだけでは、ブランド価値が崩壊する危険にもつながる。一辺倒に手を広げれば良いというわけではないという前提を踏まえ、ある意味「身の丈を定める」ということもフェーズによっては大切な戦略になるはずだ。

改めて以上を踏まえて今一度考えてみてはいかがだろう。

たとえば、普段何気なく通っている〈スーパーマーケットA〉と〈スーパーマーケットB〉について。どちらも何気なく通っているかもしれないが、改めて観察してみたら、幾つも異なる点が見えてくるかもしれない。それは、価格帯?地域密着型?口コミ?はたまた特徴的なファン作り?そのどこかに、より良い店舗・事業をつくるヒントが隠れているのかもしれない。

参考サイト・文献

※1.Kate Middleton shopping in Waitrose in Norfolk – royal expert explains shock pictures

※2.myWaitrose

※3.M&S close to falling out of FTSE 100 for the first time ever – THE INDEPENDENT

※4.’I’m rich and I’m living well. Shopping here is part of that’

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