キダルトとは?少子化でも玩具市場が伸びる理由と人気商品の事例を紹介

2024年、日本の出生数は初めて70万人を下回りました。2025年も2年連続で70万人を割り込み、過去最少を更新する見込みです。一方で、子どもの減少とは対照的に、玩具市場は拡大を続けています。一般社団法人日本玩具協会によると、2024年度の国内玩具市場規模は1兆992億円に達し、前年度比107.9%と過去最高を記録しました。

「子どもが減っているのに、玩具は売れている」。この一見矛盾する現象を支えているのは、キダルト消費です。本記事では、新規事業のアイデアを探しているビジネスパーソンに向けて、キダルトの意味や玩具市場が拡大している背景、人気商品の事例を紹介します。

キダルトとは何?

キダルトとは、「キッズ(子ども)」と「アダルト(大人)」を組み合わせた造語です。子どもの頃に親しんだ玩具やゲーム、遊びを大人になってからも楽しむ人を指します。キダルト層の中心となる年齢層は30~40代です。この世代は経済的な余裕があり、自身の趣味や推しに積極的に投資する傾向があります。

従来、玩具は主に子ども向けの商品と捉えられることが一般的でした。しかし近年は、世代を越えて楽しまれるケースが増えています。キダルトは、こうした市場変化の中心を担う存在です。

なぜ少子化でも玩具市場は伸びるのか

一般社団法人日本玩具協会によると、国内玩具市場は2021年以降、急激な拡大が続いています。2023年には市場規模が初めて1兆円を突破し、2024年にはさらに成長して過去最高を更新しました。

参考:一般社団法人日本玩具協会「玩具市場規模データ

玩具市場において、存在感を高めているのはカードゲーム・トレーディングカードです。市場規模は約3,000億円に達し、玩具市場全体の約27.5%を占めています。さらに、キャラクター関連商品(785億円)やキャラクター雑貨(1,047億円)なども好調を維持しています。

これらのカテゴリーに共通するのは、子どもだけでなく大人も積極的に購入している点です。コレクション性やキャラクターへの愛着、限定性の高さがキダルト層の消費意欲を刺激しています。また、訪日観光客による需要も市場拡大を後押ししています。

つまり現在の玩具市場は、子どもの人口規模だけで決まる構造ではありません。キダルト層やインバウンド層といった新しい購買層の拡大が市場の成長を支えています。

こうした市場変化を象徴する動きとして、日本トイザらス株式会社ではキダルト向け専門店の展開や、既存店でのキダルトコーナー強化を進めています。大手企業が取り込みを始めていることは、キダルト層が玩具市場における重要なターゲット層になっていることを示しています。

参考:日本トイザらス株式会社「日本トイザらス、キダルト(子どもの心を持った大人たち)に大人気の「ブラインドボックス」の品揃えをさらに32店舗で強化!

1兆円市場を支えるキダルトの3つの特徴

玩具市場の拡大を支えるキダルト層には、いくつかの共通した特徴があります。ここでは、キダルトを理解する上で重要な3つの特徴を解説します。

高い購買力

キダルト層の中心は、30〜40代の社会人です。安定した収入を背景に、趣味や娯楽へ継続的に支出できる高い購買力を持つ点が特徴です。そのため、精巧なフィギュアやコレクター向けの限定商品など、高価格帯の商品の需要も高まっています。こうした消費は商品単価の上昇を後押しし、玩具市場全体の規模拡大に貢献しています。

キャラクターコンテンツとの高い親和性

キダルト層は、幼少期に親しんだアニメや漫画、ゲームなどのキャラクターコンテンツに慣れ親しんだ世代です。そのため、大人になってもキャラクター商品や関連グッズを受け入れやすいのが特徴です。また、キダルト層の多くは子育て世代でもあります。過去に人気を集めた作品がリメイクされたり、新シリーズが展開されたりすることで、親子二世代で同じキャラクターを楽しむ場面も増えています。

SNSを活用した高い発信力

デジタルネイティブな側面もあるキダルト層は、高い発信力がある点も特徴です。実際に、購入した商品やコレクションをSNSや動画プラットフォームで発信するケースが多く見られます。例えば、トレーディングカードの開封動画やレビュー投稿などです。このような発信は拡散されやすく、他の消費者の購買意欲を喚起します。結果、市場をさらに盛り上げるという好循環を生み出しています。

キダルト消費を象徴する人気商品の事例

キダルト消費が市場拡大を後押ししていることを示す例として、代表的な4つの人気商品を紹介します。

ポケモンカード:大人のコレクション需要を拡大

「ポケモンカード」は、キダルト消費を象徴する人気商品のひとつです。もともとは子ども向けのカードゲーム・トレーディングカードでした。しかし近年では、コレクション性や希少性の高さから、大人の購入者が増加しています。限定カードや高額取引が話題になることも多く、単なるゲームとしてだけでなく、資産価値を意識した需要も広がっています。また、SNSや動画配信サービスでの開封動画や対戦配信は人気を集めており、情報が拡散している点も特徴です。

たまごっち:リバイバルでブームが再燃

「たまごっち」は1990年代に社会現象となった定番のキャラクターコンテンツです。近年、通信機能やカスタマイズ要素などが追加されたことで、ブームが再燃しています。かつて夢中になった世代が懐かしいだけでなく、大人でも楽しめる仕様になっていることがキダルト層に支持される理由です。

トミカ:プレミアム路線で広がる大人のコレクション需要

ミニカーブランドとして長年親しまれている「トミカ」も、キダルト消費を意識した商品を展開し成功しています。具体的には「大人がアツくなれるトミカ」をテーマに開発された「トミカプレミアムunlimited」です。細部まで丁寧に再現されたクオリティの高さに人気が集まっています。

シルバニアファミリー:SNSで広がる大人の楽しみ方

「シルバニアファミリー」は、近年SNSを通じてキダルトからの支持を集めています。ジオラマ制作や写真投稿など、InstagramやX(旧Twitter)では「シル活」と呼ばれる楽しみ方が広がっています。また、シルバニアファミリーは発売されてから約40年が経っており、3世代にわたって遊ばれている点も特徴です。子ども向け玩具でありながら、大人も楽しめる趣味として広がっています。

キダルトから学ぶ新規事業のヒント

キダルト消費のトレンドの中には、新規事業のアイデアを生むヒントがあります。具体的に次の3点に着目してみましょう。

  • 既存IPの活用

過去に人気を博したキャラクターやコンテンツを登用することで、キダルト世代には懐かしさを、子どもには新しさを同時に提供しています。

  • 高付加価値・体験重視

限定モデルや精巧なコレクター商品、デジタル体験を組み合わせることで、高付加価値を提供しています。キダルト層は、このような体験や共有に価値を感じる傾向にあります。

  • キダルト層の発信力の活用

SNSや動画プラットフォームでの投稿・拡散を促す仕組みを作ることで、ユーザーがマーケティングの起点となるのがキダルト消費の特徴です。そのような発信は信頼性や拡散力が高く、新たな顧客の獲得に貢献します。

懐かしさと新しさを組み合わせたキダルト層向けの商品は、これから玩具市場だけではなく、他の産業にも波及する可能性があります。

まとめ

少子化が進む中、玩具市場が拡大している背景には、幼少期に親しんだ玩具やキャラクターで遊ぶ「キダルト層」の存在があります。30〜40代を中心とするこの世代は高い購買力や発信力を持ち、新たなトレンドを生み出しています。キダルト層向けのビジネスモデルは拡大を続けており、人口減少による市場の縮小が懸念される日本において、事業のヒントになる点が多くあります。今後の動向にも注目しましょう。

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