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2018/04/27

シミュレーション消費を刺激するマーケティング

引用:紗栄子 公式インスタグラム

~お店に「取り扱いたい」と言われるマーケティングへ~

昔から「店頭訴求は2秒で決まる」といわれてきた。
売り場を通過する人の目を留め、2秒という瞬間でそのモノの良さやお得感などを訴求し、購買心理に影響を与えるというPOP製作の基本である。

実際にスーパーマーケットやドラッグストアの売り場をみても、瞬間的な訴求が多い。
価格をはじめ、人気の商品であるということ、何かのランキングでNo.1に選ばれているといった訴求が多いが、もはやマンネリ化していると言わざるを得ない。

「シミュレーション消費」の時代へ

随分前から「モノが売れない時代」だといわれている。
中には、大量生産・大量消費の時代ではなくなったからだと一言で言いきる人もいるだろう。

しかし、セルウェルとしての考えは違う。
消費者側の情報収集力が高まり、賢く買い物をするようになったことで、売れるモノと売れないモノがはっきりしたというだけだ。決して全体的な消費が低迷しているわけではない。

そして、現在は若者を中心に「シミュレーション消費」の時代へと突入している。
シミュレーション消費とは、自分が欲しいものを検索して情報収集を行い、蓄積された情報をもとに購入するか否かを判断するという新しい購買行動である。
リピート購入も同じく、過去の使用経験や成功体験を自分の中に蓄積して購入に至るケースが多い。

今売れている商品のほとんどが、このシミュレーション消費に合わせたマーケティング戦略を行っていると言っても過言ではない。

その一例として、女性からの圧倒的支持を獲得し、2017年の楽天年間ランキング上位にランクインしたヘアケアブランド「BOTANIST(ボタニスト)」をみてみよう。

シミュレーション消費を見据えた巧みなマーケティング

BOTANIST公式サイト

引用:BOTANIST公式サイト

ボタニストは、もともとSEO対策の広告代理店である株式会社I-ne(イーネ)が山田製薬株式会社のOEMで販売したブランドであり、シャンプーなどのヘアケア製品が爆発的な人気を得ている。
現在、イーネ社は広告代理業の傍ら、ボタニスト以外に21ものブランドを持つメーカーとなった。

ボタニストはイメージ戦略が非常に長けており、商品のネーミングから「植物素材」や「オーガニック感」を想起させる点も巧みである。
また、いきなり大きな売上を目指すのではなく、まずは美容室専用シャンプーとして販売ルートをBtoBに絞ったことで、商品の専門的なイメージづくりを成功させた。

次に、プロユースのシャンプーであることを背景に、美意識が高い投稿で多くのInstagram(インスタグラム)フォロワーをもつ紗栄子、山田優、高橋愛、GENKING、後藤真希といった芸能人インスタグラマーを広告塔に起用。
商品の情報を拡散させ、2017年の楽天売上ランキング(美容・コスメ・香水部門)でNo.1にまで上りつめた。

引用:紗栄子 公式インスタグラム

引用:紗栄子 公式インスタグラム

もちろん、同社のお家芸ともいえるECでの口コミ醸成や、検索ランキングを高めるための仕掛けもしていることだろう。しかし、多額の広告費をかけずにうまく情報を拡散した点は見事である。

シミュレーション消費の進化が「真のマーケティング」につながる

こうしてボタニストは引く手あまたの商品(ブランド)へと成長し、東急ハンズやロフトなどのバラエティーショップをはじめ、今ではマツモトキヨシやサンドラッグといったドラッグストアへの配荷にも成功している。

サンドラッグ某店舗に陳列されたボタニスト製品

サンドラッグ某店舗に陳列されたボタニスト製品

上記の写真を見てお気づきだろうか。
これが、冒頭で述べた「2秒(瞬間)訴求」である。

「夏の新商品」「1,512円」「フランス・アメリカ・日本でNo.1」……2秒で得られる情報は、これぐらいだろうか。

セルウェルとしても店頭訴求を軽視しているわけではないが、「今の時代、店頭訴求だけをやっていても売れない」というのは一つの事実である。

ボタニストという商品を全く知らない人が売り場でこのPOPを見たところで、購買につながるとは考えにくい(新しいモノ好きは一度くらいトライするかもしれないが)。
しかし、ここに陳列されるまでの間に、消費者に対してシミュレーション消費を刺激する施策を効果的に打ったという背景があれば話は別だ。

今や、TVコマーシャルを大量に打ち、店頭訴求を強化して……といったこれまでのやり方だけでは、いくらモノが良くても売れない時代になっている。

今後は「いかに消費者のシミュレーション消費を刺激するか」がマーケティングの肝となり、シミュレーション消費自体を進化させることがマーケティング会社の責務でもある。
それは、良い商品を作ってもお店が取り扱ってくれない=消費者に正しく商品の価値が伝わっていないという、すれ違いを無くすことにもつながるだろう。

そして、良い商品を求める消費者を喜ばせるために、お店側が “取り扱わざるを得ない状況”を作ることが、真のマーケティング(モノの質とニーズがマッチしている状態)と言えるのではないだろうか。
当社も、シミュレーション消費を重視したマーケティングを心掛けていきたい。

中野 豊

著者/中野 豊

セルウェル株式会社 マネージャー

メーカー様の商品を売りの現場に、いかに効率的に、かつメリットが最大限に出せるかを 重視し、親身になって提案することをモットーにしています。これまでの実査・コンサル 経験を活かし、理想よりも現実を重視した、地に足の着いた提案をしていくことを目標と しています。

マーケティングの課題を様々なレベルで支援します

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